当該物件は20年ほど前になんとかローンを組み新築購入したそうだが、自営業かつ完済時年齢80歳超えの住宅ローン審査がよく下りたものだ。
普段から湿度の高い物件なのか、室内にも湿気による痛み、カビ、苔といった部分が確認できる。
債務者自身も当該物件購入時に地盤についての不安や、浸水被害の発生を多少気にかけていたようで、10年保証を取り付けてからの購入となっていたようだが、結局水害の発生は20年目の出来事だった――。
直下の地盤強度にもよるため一概には言えないが、悪地の地盤改良には数十年単位の時間を要する。
国の政策であればなんとか出来るだろうが、民間業者ではまず無理な話だ。
これらをカバーするために基礎工事の手厚さを打ち出すしかないのだが、海抜ゼロメートル地帯や窪地といった根本的な問題は全く解決されていない。
もちろん昨今では洪水ハザードマップなども用意されてはいるが、最新のものをしっかり確認してから購入するという人は残念ながら少ない。
このような生活にも直結する浸水被害の発生も、本来であれば詳細な記録を残し今後の防災計画や不動産活用の参考にされるべきなのだろうが、市場価値が下がるという意味合いから住民により隠されてしまうことが多く、公式な詳細記録を残せている自治体は殆ど無い。
更にはこれらを啓発する目的だったはずの地名までもが次々と変えられ、今や機能していない。
資本主義・物質主義に大きく傾倒した社会が隠してしまったもの、見えなくしてしまったもの。これらは本当に意味や価値の見出だせないもの、不利益なものだったのだろうか。
本来後世に残すべき情報とは何なのか、今一度立ち止まって考えることはもう難しいのだろうか。
【ニポポ(from トンガリキッズ)】
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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