建設的議論ゼロの罵り合いにパリピ化!? クジラ国際会議のお粗末な実態

 大の大人が世界中から集まり、歩み寄りを見せず、ひたすら罵り合い、そして何も決まらない「世界最低の国際会議」……。クジラの資源管理を議論する国際捕鯨委員会(IWC)の別名だ。

プロレスさながらの罵倒合戦

 IWCは1948年にクジラの保護と持続的な利用を目的として設立された国際機関で、世界89か国から構成される。日本も’51年に加盟した。設立当初は加盟国全てが鯨肉や鯨油などクジラを利用する立場だったが、イギリスなど欧米が捕鯨から撤退し始め、次第に日本をはじめとした捕鯨支持国に強力な反捕鯨キャンペーンを張り、‘82年にはIWCが商業捕鯨を一時停止した。日本も’87年に中断したが、捕鯨再開のための生息数などの科学的データの収集を目的とした「調査捕鯨」という形で捕鯨を行っている。  日本は30年以上捕鯨再開を求め続けたが、否決され続けている。現在のIWCは捕鯨支持国と反捕鯨国の間でほぼ勢力が拮抗しており、お互いに何も決められないこう着状態となっている。  捕鯨問題への関心は一時期よりも下がったとはいえ依然高い。とりわけ関心の無い人でも、捕鯨船を暴力的な手段で妨害する環境保護団体のグリーンピースやそこから過激派が分派したシー・シェパードの名前を聞けば、少なくともまったく知らないということはないだろう。私も学生時代に有名なグルメ漫画の『美味しんぼ』で捕鯨問題が取り上げられているのを読んだクチで、日本が抱える国際問題のひとつとして存在を知ってはいた。  さて、そのIWCは総会が2年に1回、世界各国で開かれるのだが、これが本当に驚くほど罵倒し合うだけで何も決まらない。普通、大人なら意見が違う場合にみられるような「まあ、この辺りでやっていこうや」という歩み寄りが全く見られないのだ。  たとえば、最重要論点の商業捕鯨再開については、欧米の反捕鯨国側からは「イマドキ捕鯨なんてやってるのは、途上国だけだ」と自分たちの食文化がイチバンという差別意識丸出しの発言が飛び出せば、捕鯨支持国からは「世界は弱肉強食のジャングルじゃねえぞ!」と欧米の先進国のやりたい放題、言いたい放題に反撃する。相手に有利な提案が通れば「勝手にきめやがって、ビンタ食らった気分だよ!」。さらに捕鯨支持国からは「脱退しないように耐えてきたけど、もうやってられねえ! 新団体立ち上げだ!」と言い放ち、まるで往年のプロレスの様相を呈していた。

世界でも珍しいマスコミにフルオープンな会議

 IWC総会が以上のようにオモシロイ会議であることはよくわかっていただけたかと思うが、そもそも国際会議で内容をリアルタイムで見れるものはほとんどない。国際会議では秘密の話やどこの国が何を言ったかなど、いろいろとメディアに知られては問題があることが少なくないのだ。メジャーな国際会議になると記者はホテルに缶詰にされて、当局が許可するときにだけ、よくテレビニュースで見られるような囲み取材が許可されるのが普通だ。  しかし、IWCはフルオープン。理由は簡単で、何も建設的に決める気がないからだ。関係者の話によると、反捕鯨、捕鯨支持の両サイドがお互いに相手がいかにくだらない主張をしているかを世界中にアピールしたいのだという。たしかに何かを決めようとするから秘密にしたい駆け引きの必要が出てくるわけで、それがないなら隠す必要はないのは当然だ。
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クジラのイヤリングの次はタトゥーコンテスト
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