立憲民主党から立候補で大論争。「おしどりマコ」は天使か悪魔か?
30倍希釈イソジン~マコ氏の迂闊すぎる情報発信
これは非常に危険な内容を含むツイートである。このツイートをしたのち、マコ氏のもとには批判ツイートが殺到したが、マコ氏はそれらの全てを無視していた。見るに見かねた私が割って入り、2度目のコンタクトで(1度目は無視されている)やっと行うことのできた会話がTogetterにまとめられている: (参照:「安定ヨウ素剤についての おしどりマコ 氏との会話」–togatter) 2018年6月23日のマコ氏のツイートのどこが悪かったのかを説明しておこう。 世の中には、ヨウ素にアレルギー反応を示す人、すなわち“ヨウ素過敏症”の人がいる。ヨウ素過敏症の人が誤ってヨウ素を大量摂取すると、発熱や蕁麻疹などの副作用が起こるほか、最悪の場合、ショック症状による呼吸困難から死に至る場合もある。このようなことから、安定ヨウ素剤(甲状腺内を天然のヨウ素で満たし、放射性ヨウ素が入り込みにくくする薬)の配布前には、説明会の聴講や医師・薬剤師による健康チェックが行われるのが普通である。医師・薬剤師によるチェック無しで入手できるイソジンを、マコ氏のツイートを見て大量摂取してしまった人がいなかったかどうか(マコ氏のツイートには必要量すら示されていない!)、今後そのような人が現れないかどうか、いささか心配である。 さらに、その30倍希釈イソジンの必要量にも幾つかの問題がある。マコ氏のツイートに登場する『DAYS JAPAN』の記事(2018年1月号)によると、本行忠志教授のコメントとして、(30倍希釈イソジンで安定ヨウ素剤と同等の効果を得るには)「小児でコップ1杯、200ml程度ですね。大人はその倍」と書かれている。これも大変に危険な記述である。イソジンには消毒薬など、ヨウ素以外の成分が大量に含まれており、もともと飲用には適さない。さらに、普通にうがい薬として使った場合でも、少数の人には口内の荒れなどの副作用が起こることが分かっている(参照:イソジンガーグル液の説明書–シオノギ製薬) 200~400mlもの大量の希釈イソジンを飲み込んだ場合に、どれくらいの人に、どの程度の口内の荒れ、食道の荒れなどの副作用が起こるかは、未知数であろう。なお、『DAYS JAPAN』記事には本行忠志教授のコメントとして「私も試しに飲みましたけどねぇ、コップ一杯飲みましたが、お腹を壊すことなく元気でしたよ」との一文もあるが、本行氏一人が飲んで大丈夫だったとしても、安全性を保証することにはならないことは、言うまでもないことである。 また、同じ『DAYS JAPAN』記事には、『Medical Practice』誌2011年11月号での田中祐司教授(防衛医科大学校)の発言を参照するかたちで、次のような記述も示されている。 “「イソジンでうがいして、あまりゆすがないでいるぐらいでちょうどいいのではないか。ちょっと残るイソジンでも十分なヨード量がありますので、十分なヨード・ブロックがかかっているだろう」” この記述もまた、別の意味で危険なものである。 甲状腺ブロックに必要な希釈イソジン量が本行氏の言う通り200~400 ml 程度であるなら、普通にうがいし(うがい薬として使われる場合でも、イソジンは30倍程度に薄めるのが普通である)、吐き出した後に口に残る程度の微々たる量では、少なすぎて甲状腺ブロックの役には(ほぼ)まったく立たないはずである。このような情報発信により、一般の人たちに「希釈イソジンでうがいする程度の対策をしておけば、安定ヨウ素剤は要らないのだな」という誤解をさせ、無防備にさせてしまったとしたら、それはそれで非常に危険なことであろう。 マコ氏本人に確認したところ、当時の彼女は、安定ヨウ素剤の公的な配布が遅々として進まない現状を憂いており、「代わりになる方法があるなら……」との想いで上記のような発信をしたそうである。そういったマコ氏の想いに私自身も共感するところはあり、悪意を感じることはないが、しかしながら、マコ氏が行った発信は、一般の人たちを複数の意味で危険に晒しかねない、迂闊なものであったことは確かである。 なお、現在ではマコ氏も自身の情報発信を大いに反省しているそうである。今夜、大阪から東京に戻るけれど。その前に大阪小児科学会地域医療委員会の低線量被曝を考えるセミナー。大阪大学の本行忠志先生のご講演。昨年、本行先生に取材してDAYS JAPANに記事を書きました。身近なものから安定ヨウ素剤の代替として、イソジン30倍希釈が効果的!という調査研究をされた先生!
— おしどりマコ (@makomelo) 2018年6月23日
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