こうしたサイバー攻撃は、思わぬ形で一般人に襲いかかってくることもある。
「些細なことが、後々重大な被害を生むこともあります。たとえば、業務用アカウントに届いたメールやリンクを開いてしまったことが、侵入の糸口になっていたりする。『インターネット版振り込め詐欺』と呼ばれるものでは、取引先を装って『今月から振込先口座が変わりました』と連絡がくるようなサイバー攻撃もあります」
通常であれば少し怪しいと気づくようなものでも、忙しいときはつい見すごして処理してしまう……。結果、数千万から数億円もの被害が生まれることもあるという。
「こうした個人の意識を変えるのは、なかなか難しいですよね。サイバー攻撃については、多くの報道がなされていますし、大手企業には教育プログラムもある。一定以上の警鐘は鳴らされてると思います。一人で属人的な処理を行うのではなく、関わる人数を増やすなど、構造的に対応していくしかありませんが、それはそれでコストや仕事量が増えますしね」
広い対象を目標にしたサイバー攻撃はセキュリティソフトなどで概ね防げるそうだが、ピンポイントでの攻撃に個人レベルで対応することはかなり難しい。
「漁船に乗っている一般人が、海賊に襲われるようなものです。国民の財産が狙われている以上、サイバー攻撃は国家レベルで防ぐべきでしょう。『小さな船一艘で頑張って気をつけなさい』と言っても、それは厳しい」
クラウドで手軽に使えるセキュリティサービスも数多くあるので、まずはシステムに脆弱性がないかなど、現状把握をすることが大切だ。