一般人にはわからない、大型トラックがノロノロ運転にならざるを得ない事情

大型車はどんなにアクセルを踏み込んでもスピードが出ない

2.高速の追い越し車線をノロノロ走る理由  もう1点、一般ドライバーがトラックに「イライラする」と感じるのが、高速道路の「追い越し車線上」でのノロノロ運転だろう。が、これにもトラックの構造上の理由がある。  大型トラックには、高速道路での事故防止のため、2004年からスピードリミッターの装着が義務付けられた。これにより、大型車はどんなにアクセルを踏み込んでも、時速90kmまでしか出なくなったのだ。  そのため、時速85kmで走っているクルマを追い抜こうとしても時速差が5kmしかなく、結果、「遅いトラックの並走」という現象が起きてしまう。  こう言うと「時速5kmくらいなら自分も85kmで走ればいい」とする声をよく耳にするのだが、時間と戦う長距離ドライバーにとって、1時間5kmの差は大変大きい。単純に計算して、10時間走れば50km。東名高速だと、東京から秦野中井までの差が開く。  こうした「トラックの並走」に遭遇し、イライラすることもあるだろう。が、それを運転しているトラックドライバー自身も、差し迫る必着時間の中、なかなか追い抜けずにストレスを抱えていること、ノロノロ走りたくて走っているのではなく、「走れない」ことを理解してもらえると、互いの運転意識も多少は改善されるはずだ。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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