度重なるトラブルで大幅に遅れたサウジの高速鉄道がようやく開通式典。しかし式典もまた波乱含み
El Mundo』(電子版10月8日付)が現地に赴くスペイン政府高官からの情報だとして次のことを明らかにしたという。
サウジ政府がスペイン政府閣僚への招待状は送らなかった理由、それにはこんな事情があった。
9月にスペイン政府がサウジに400個のレーザー誘導爆弾の発送を、イエメン紛争に使用されて多くの市民が犠牲になる可能性があるとして中止しようとしたことにサウジ政府は憤慨した。
サウジ政府は当初、この決定に対して怒りを表明し、スペイン政府にこの件を担当していたマルガリータ・ロブレス国防相の解任を要求した。しかし、スペイン政府はその要求を拒否。結局、400個の爆弾は最終的には発送されることに決定したが、サウジ政府はこの件に関してのスペイン政府の対応に納得していないため、意趣返しのため今回招待状を出すことを固辞した理由だと憶測されている。結局、スペイン政府の代表として式典に参列したのは在サウジのスペイン大使アルバロ・イランソだけであった。
サウジ高速列車の開通式典にスペイン政府閣僚が参列の招待を阻んだ400個のレーザー誘導爆弾とはどういったものなのだろうか。『el confidencial digital』(9月12日付)がそれを明らかにしている。以下にその要約をしよう。
2015年に400個=920万ユーロ(12億円)分をサウジに輸出することが契約されていたレーザー誘導爆弾とは、スペイン空軍が米国レイセオン(Raytheon)社から購入していたものである。ところが、NATOの軍事演習に使用するだけで保管されたままになっていた。それを前政権国民党のペドロ・モレネス(当時)国防相がサウジに売却することを決定したのである。
しかし、イエメン紛争に使用されて罪のない市民がその犠牲になることをNGOなどから指摘され、それを避けるためにロブレス国防省が無効にしようとしたのである。
この決定にサウジ政府は激怒。またスペイン軍事関係者も新政府の失態だと指摘した。というのも、スペイン軍はサウジ軍と色々な面で協力関係にあり、この売却を破棄すれば最近サウジから受注した2200型コルベット艦5隻、18億ユーロ(2340億円)の契約をサウジ政府が解消して来る可能性があるからであった。
この受注は失業に苦しんでいるアンダルシア地方のカディス市で5年間に1100人の直接雇用、1800人の間接雇用そして関連企業で3000人の雇用がそれぞれ保障されることになっている。この5隻を建造することになっているナバンティア国営造船所では400個の爆弾の売却中止の報復としてサウジからの5隻の建造契約の破棄を言って来ることを恐れてスペイン政府に抗議を開始した。
9月25日、当サイトでも過去に何度となく報じてきた、サウジアラビアでスペインが建設した高速列車の開通式典が行われた。2011年にスペインが受注して以来、数々の障碍を乗り越えて開通まで遅れに遅れての運行開始となったのである。
サウジのサルマン国王そしてサルマン皇太子も出席してのこの式典に、なんとスペイン政府からは誰も参列しなかった。その理由は、サウジ政府から招待されなかったからである。招待されなかった理由は公にはされていないが、スペイン紙『スペイン政府への意趣返し!?
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