筆者にとって国立図書館は2回目の訪問で、1年前に来たときにはなかったゲートが設けられていた。駅の自動改札のようなものだったが、入り口には誰もいないし、ゲートも開きっぱなしで自由に出入りできる。ただそこに置いてあるだけだった。
受付はQRコードつきで、図書館のアプリを宣伝しているが、果たしてどれだけ機能するのか。一応、蔵書の検索サービスなどになるのだが、それが機能していないから筆者はここに立っているのだと複雑な気持ちになった。
国立図書館のメインビルディングは最近きれいになった
ただ、規模は大きい。というのも、タイの図書館は国立図書館やバンコク都立図書館、あるいは大学運営の図書館が中心だからだ。東京だったら区内に小さな分館も含めれば何か所もあるが、タイの場合はそこかしこにあるわけではない。その代わり、どこも規模が大きく、10階建て前後のビルがすべて図書室になっていたりするのである。
国立図書館はジャンルによって建物が分かれており、かなり大きい
チュラロンコーン大学の図書館の建物も大きい
図書館1階には端末が置かれ、探したい書籍やジャンルが検索でき、どの階のどの棚に置いてあるかがすぐに判明する。この辺は日本の図書館も同様だろう。
しかし、実際にその棚に行っても本がないのである。いやそれどころか、そんなジャンル自体がないということさえもある。つまり、Web検索同様と同じデータを使っているだろうから、結果は同じなのだ。
そんなわけで、一番確実な方法は「職員に直接訊く」となるのだが、これもまた厄介だ。わかる人はちゃんとわかるが、どこにあるかを把握していない人もいるからだ。そんなときはわかる人を探してくれる優しさはあるが、果たして端末に存在意義があるのかと疑問を抱かずにはいられない……。
筆者が今回国立図書館を訪れたのは、1950年代の新聞を調べたかったからだ。筆者は端末を無視して職員を探して訊いた。すると、タイの古い新聞はすべてマイクロフィルムにしてあるという。
目的は簡単に達成できそうだ……と思っていたが甘かった。