その彼女にも、10月3日、喜びとなるニュースが伝えられたのである。カリフォルニア連邦裁判所のエドワード・チェン判事が、トランプのTPSを打ち切るという決定を覆して、この実行を阻止する命令を出したのである。(参照:「
El Nuevo Herald」)
チェン判事がこの判決を下す根拠になったのは、TPSを廃止するための正当性に欠けているということ。そして、白人ではなく、ヨーロッパ人でもない移民を差別する要因がトランプの決定の背後に隠されているという疑いがもたれるとした。それを裏付けるものとして、判事はトランプのこれまでの発言内容を取り上げて、「アフリカの糞の国家」、「全てのハイチ人はエイズに罹っている」と発言したことや、ムスリムの入国を禁止したこと、また、メキシコ移民を「麻薬密売人でレイプ魔だ」と呼んで侮辱したことなどを引用して彼の判断の根底には人種差別の意識が宿っているとした。(参照:「
Diario Las Americas」)
更に、TPS制度を廃止すれば、これまで保護された移民を帰国させることによる被害は修復は出来ないものだと指摘した。
それに対して、司法省のデビン・オマリー報道官は今回の判決は行政施行権利を越権するものだとした。そして、ホワイトハウスも国家安全保障省も不適切なことを実行しようとする概念は持っていないとしている。(参照:「
El Nuevo Herald」)
<文/白石和幸 photo by
Fibonacci Blue via flickr (CC BY 2.0)>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身