年金制度改悪でプーチンの支持率も低下。平均寿命67.5歳のロシア男性は2年半しか年金受給されない!?

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MabelAmber via Pixabay(CC0 Public Domain)

 ロシアのプーチン大統領の支持率が急落している。  原因は、年金問題。これまで89%の支持率だったのが、ロシアの独立系では最大の世論調査「レバダ・センター(Levada Center)」によると67%にまで下降したという。政府への支持率は47%から33%に落ちた。また、政府が正しい方向に向かっているという国民からの示唆も60%から45%に下降したという。(参照:「El Economista」、「El Confidencial」)  もちろん、2017年度の世界報道自由度ランキングでもロシアは180か国の中で148位という国である。独立系の報道メディアや記者は毎日攻撃に晒される危険に挑まねばならなず、彼らの多くが主要メディアから排斥されているため、筆者はプーチンへ支持率は公表されている数値よりも実際はもっと低いのではないかと思っている。

平均寿命の短いロシアで年金支給開始が引き上げ

 年金制度改正の法案はロシア連邦議会の下院で9月に、そして上院で10月にそれぞれ可決された。  この改正に多くの国民が不満を表明している理由は、少ない年金支給額に加え、ロシア人の平均寿命が短いことから定年してから年金を享受できる期間が少なくなったということからである。  2005年にプーチンは彼の治政中は定年年齢を上げることはしないと約束していた。しかし、財政赤字をこのまま放置するわけにも行かず、今回の改正で年金支給額の負担を減らすことにしたが、それでも35億7000万ユーロ(4600億円)に相当する財政赤字を2018年度で抱えることになるという。それは国家予算の1.6%に匹敵するそうだ。(参照:「El Confidencial」)  この改正によって、男性の場合の年金支給は、2019年から2028年まで60歳から65歳に、そして女性の場合は2019年から2034年まで55歳から63歳にそれぞれ繰り上げられることになる。(参照:「El Economista」)  当初の計画だと、5歳繰り上げるのではなく、8歳繰り上げする予定だったという。となると、国民からの反発がさらに強くなるとして、政府は5歳の繰り上げということに留めたそうだ。(参照:「El Pais」)  ちなみに、年金の平均支給額は14151ルーブル(24000円)で、4610万人が年金受給者となっている。この中には退役軍人が年金受給者の半分近くいる。
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地域によっては平均寿命が開始年齢を下回る
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