問題はロシア人の平均寿命である。2017年度で男性67.5歳、女性77.6歳となっている。即ち、男性の場合、年金の支給開始の65歳から平均寿命67.5歳まで僅か2.5年しか年金を享受できないということになるのである。
男性の場合、平均寿命67.5歳というのは非常に短く、この年齢よりも長生きをしてより長く年金を享受する男性もいる。しかし、アルコール中毒に罹る人が多くそれが短命を導ているとしている。(参照:「
El Pais」、「
El Confidencial」)
さらに、ノヴゴロド地方の男性などは、平均寿命が64歳ということで、年金支給開始年齢65歳に届かないのである。
同地方では、男性の場合、62歳で亡くなる人が多いという。70歳以上存命した男性の墓を見つけるのは容易ではないそうだ。
今回の年金制度改正で多くの人たちが愉しい未来に得る期待を失ってしまったという。
しかし、年金制度の改正を実行しないと、2035年には年金受給者の方が労働者を上回る数になるという。年金支給額は年間で450億ユーロ(5兆8500万円)。(参照:「
El Economista」)
安倍政権でも年金支給の開始を選択性とはいえ70歳超に引き上げる案が検討され始めている。日本の平均寿命は男性は「81.09歳」、女性は「87.26歳」でまだマージンがあるものの、支給期間はどんどん短くなっているのが現実だ。遠からず、ロシアのことを笑えない日が来るかもしれない。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身