2020年東京五輪、犯罪組織も「一攫千金」を虎視眈々と狙っている

 東京五輪まで2年を切り、ボランティアの募集も開始。一方、さまざまな人々がひと儲けを狙い、着々と“準備”を進めている。もちろん地下経済でもその動きは顕著だ。
警察

警察はテロ対策で手いっぱい? AFP=時事

すでに五輪詐欺も始まり、にわかに活気づく裏社会

 東京五輪は犯罪組織にとってもチャンスとなる。漫画『クロサギ』の原作者で、裏社会事情に詳しいルポライターの夏原武氏は言う。 「警察はテロ対策で手いっぱい。全国から警察官(刑事警察)が動員されて国内主要の空港、港湾、駅に配置され、ずっと警備しないといけない。五輪期間中は違法ビジネスを取り締まっている暇がなく、裏社会の人間もそれをよくわかっているんです」  開催までまだ2年もあるが、すでに詐欺事件も起きている。神奈川県在住の女性(62歳)のもとには、こんな電話がかかってきた。 「毎月1万円の積み立てで、開会式の購入権が得られるという話で、先着20人限定のキャンペーンだと強調していました。数時間後、別の男から『五輪チケットを200万円で譲ってほしい』と電話がありました。詐欺だとわかったので相手にしませんでしたが」  国民生活センターによれば、五輪関連のチケット詐欺や偽予約サイト詐欺が急増しているという。 「ヤクザの古典的なシノギといえばダフ屋行為。広告代理店やJOCの関係者をかたり、『関係者チケットが手に入る』と言って、偽のチケット予約券を売りつける詐欺が出てくるでしょう。折しも日本のエンタメ界ではチケットの転売問題で揺れており、五輪チケットの本人認証がどうなるのか、まだ明らかにされていない。指紋認証になるのかマイナンバー認証になるのか、チケット転売でひと儲けをたくらむ裏社会の連中は注目しています」(夏原氏)  大会組織委も「チケットの本人確認については、会場計画なども鑑みながら現実的な方法を考えていきたい」と明言を避けた。
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金地金の浄化に狙われる記念硬貨
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