いよいよ開通!香港初「高速鉄道」乗車記――手放しで喜べない事情とは?
中国各地に伸び続ける高速鉄路(高鉄)。中国では2007年に一部路線で最高時速250キロメートル運転が開始され「高速鉄道時代」の幕が開けたが、それから11年、いよいよこの9月からは香港にも高鉄の乗り入れが開始されることとなった。
高鉄開通により、香港と中国側の深圳は僅か20分ほどの距離で結ばれることとなる。しかし、香港では決して手放しでは喜べない事情もあった。
香港に高鉄が乗り入れたのは9月23日のこと。広州から深圳を結んでいた広深高速鉄路(広深港高速鉄路)が、深圳市の中港国境付近にある福田駅から香港西九龍駅まで延伸開通したことによる。
香港西九龍駅が設けられたのは、香港の中心部である九龍地区の海沿い。香港に少し詳しい人ならば、九龍駅と柯士甸(オースティン)駅の中間といえば分かるであろうか。両駅から徒歩でアクセスすることも容易な距離で、新たに西九龍駅までの連絡通路も設けられている。香港最大規模の臨海ショッピングセンターで澳門(マカオ)航路なども発着する「海港城」(ハーバーシティ)や「香港文化センター」、香港そごうの支店やバックパッカーの聖地「重慶大廈」などが立地する商業地域・尖沙咀地区なども徒歩圏となる。
香港西九龍駅の駅ビルは想像以上に巨大な建物で、まるで空港のターミナルのような雰囲気だ。駅ビルは地上3階、地下5階建て。屋上階は「天空走廊」となっており、観景台(展望台)も設けられている。香港の中心部にこのような広大な敷地が確保できたことは驚きに値するが、ここは元々埋立地で、その後は主にゴルフ場や仮設バスターミナルなどとして利用されてきた場所を再開発したものだ。
駅の入口には、中国鉄路のものではなく香港鐵路(MTR)の赤い「木」のシンボルマークとロゴが掲出されている。今回開通した西九龍から深圳市の福田駅まで約36kmは香港鐵路の路線となる。
駅ビルのうち、グランドフロア(1階)、地下1階、地下2階は商業・サービル関連の店舗が出店するテナントエリアとなっている。このテナントエリアは約3万㎡もの広さで、「世界一安いミシュラン星つき店」として知られる地元の香港料理店「ティム・ホー・ワン(添好運)」を始め、百福麺家(マカオ)、春水堂(台湾)、ばり嗎ラーメン(日本)、ヒップスターバーガー(米国)など世界各国の飲食店も出店しており、飲食店街を見るだけでも国際都市・香港にいることを実感させられる。
また、地下2階には香港鐵路直営のMTRグッズショップも出店している。鉄道ファンにとってはこちらも注目であろう。
香港の中心「九龍」に高速鉄道が!
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