大坂なおみ選手が飛び交うブーイングを一掃させたビジネスでも使える「スキル」

真っ先に観衆について触れた大坂なおみ選手

 もし、大坂選手が、話の順番を逆にして、「セリーナと全米の決勝でプレーすることは夢だったので、夢が適って嬉しかった」と言い始めていたら、ブーイングは決して収まらなかったに違いにない。しかし、それを言う前に、「みなさんがウィリアムズ選手を応援していたことと思います」と観衆のことに言及したことが、観衆の心に響いたのだと思えてならない。  大坂選手は、観衆を巻き込みたくて、このような話の構成を組み立てたのではないと思う。直感的に言いたいことを言おうと思ったに違いないと、私には思える。直感的に相手を巻き込む話法が繰り出せることは、不可能ではないかと思う人もいるに違いない。  しかし、「相手のことに言及したあと、自分のことに言及する」というとても簡単なパーツ分解したスキルを、繰り返し実施していけば、1か月しないうちに、ことさら意識しなくても自然と繰り出すことができるようになる。そして、いつのまにか、同僚、上司、部下、お客さまに対する思いやりの気持ちが高まっていることに気づくに違いない。  分解スキルを反復演習していくと意識が変わっていくのである。大坂選手は、その域に達した高いレベルのビジネススキルの使い手であるように思えてならない。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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