政府と世論の都合でコロコロ変わる兵役法に振り回される韓国男性。南北関係改善が歯止めになるか

2002年W杯ベスト4で兵役免除の何故

 度重なる変更を強いられながら、なんとか定まった「兵役特例措置対象者」。  しかし、2002年に思いがけないことが起こる。  2002年に日韓共催で行われたFIFAワールドカップで、当時の韓国代表チームはベスト4。 「オリンピック大会3位以上、アジア大会1位」である兵役特例対象者の規定には、かすりもしていない。しかし、当時の世論の絶対的な支持と、史上初の快挙とあって、大統領令として兵役の義務が免除された。  もちろん免除されたからといって、何もなく終わるわけではない。2年間の服務義務はなくなるものの、4週間の基礎軍事訓練は受けなければならない。しかし、2年と4週間の差はかなり大きい。  ここで再度、議論となったのは、「公平性」と「一貫性」である。 「世論の支持」と「史上初という快挙」。この二つがそろえば、今後もあらゆる分野で兵役を免除されるのではないか。  規定をまったく無視し、完全なる「特例」として施行した結果、この「兵役特例措置問題」は、現在にいたるまで16年間も混乱を招いている。  激化する対立を受けて、韓国政府でも現兵役法見直しを発表。本格的に議論をはじめ、解決策探しに躍起になっている。  先日、韓国の文在寅大統領の特使として北朝鮮を訪問した鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長が記者会見を行い、文大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、3度目の首脳会談を今月18~20日に平壌で行うことで合意したと発表した。  両首脳は朝鮮半島を非核化するための「具体的な措置」について話し合う予定だという。  韓国と北朝鮮は、1950年から始まった朝鮮戦争の休戦協定を1953年に結んでおり、いまだ「終戦」はしていない。韓国の兵役制度には、停戦状態である「朝鮮戦争」が深く関わっている。今後、南北関係が改善されれば、韓国の兵役制度も自ら大きな転機を迎える。  新たな兵役法が先か、兵役法の廃止が先か。若者の未来が一つの転機を迎えている。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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