「考え直さないといけない」のは、安倍政権の原発推進政策!?
講演後に小泉進次郎氏は、子育てコーナーを視察。しかし囲み取材もぶさ下がり取材もなく、報道関係者とは一言も言葉をかわさなかった
安倍首相への批判ともとれる発言は、他にもあった。続いて進次郎氏は、東日本大震災が起きた「2011年3月11日」の文字を前方スクリーンに映し出し、「(この日を境に)世の中が大きく変わった。そして『これでいいのだろうか。考え直さないといけないことがあるのではないか』という思いがさまざまなセクターに広がったのが、この日です」と強調した。
「原発ゼロ社会実現」を訴えて全国講演行脚を続ける父親の小泉純一郎・元首相の主張とかぶる発言だ。純一郎氏は、「福島原発事故を機に勉強し直すと、原発推進論者が言っていたことがすべて嘘だということが分かった」と決まり文句のように説明している。
それと同時に純一郎氏は「総理大臣が決断すれば、すぐに原発ゼロを実現できるのにやろうとしない」とも指摘、原発再稼動に邁進する安倍首相への疑問も呈している。
この父親の発言を念頭に置きながら、息子の進次郎氏も、未だに3.11以前と変わらない思考の安倍首相を批判したようにも見える。
「進次郎9・8決起計画」と呼ぶにふさわしいストレートな発言はなかったものの、小泉親子を長年取材している筆者の経験からすると、「9月8日の小泉進次郎氏の講演は、実質的な『石破氏支持表明』に限りなく近い」という印象を受けるのだ。
ただ、進次郎氏は今までも反主流派をポーズとして取りながら結局最後は何も行動してこなかった。これもまた進次郎氏の「党内野党風味のパフォーマンス」に過ぎないのか、あるいは「観測気球」なのか、はたまた最後に石破氏を支持するのか。今後の動向が注目される。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数