「人種差別への抗議のため国歌斉唱で立たなかったNFL選手」を広告起用でNIKEが炎上。信念を通す姿勢に共感の声も
国歌斉唱で史上初めて起立しなかった選手
発端は’88年に誕生したスローガン「JUST DO IT」の30周年を記念してNFL選手(現在は無所属)コリン・キャパニックが起用されたこと。同コピーはナイキの代名詞とも言えるもので、’88年に誕生してから10年間で、ナイキの北米市場におけるシェアは18%から43%にまで上昇したという。 そんな重要なコピーの30周年に起用されたキャパニック。日本ではあまり馴染みのない人も多いだろう。しかし、本国アメリカでは、反レイシズムや「ブラック・ライブズ・マター」運動の象徴的な人物の一人として知られている人物。 サンフランシスコ・フォーティーナイナーズに所属していたキャパニックは’16年のプレシーズンマッチでの国歌斉唱で起立せず、大バッシングを浴びた。国歌斉唱で起立しなかった選手は史上初めてだったという。起立しなかった理由について、キャパニックは有色人種への差別に対する抗議だと表明。’68年メキシコオリンピックで、表彰台の上で黒い手袋を突き上げた「ブラックパワー・サリュート」を彷彿とさせる抗議だ。 この結果、シーズン前に行われたNFLのファン投票では「もっとも嫌われている選手」に選ばれてしまったキャパニック。しかし、内訳を見てみると、白人ファンの37%が「とても嫌い」と答えたいっぽうで、黒人ファンの42%が「とても好き」と回答。オバマ大統領も彼の行動を支持するなど、「Son of a Bitch」とまで言ったトランプ大統領を筆頭に極右・保守層からは叩かれたが、一躍マイノリティのヒーローとなった。 その後、キャパニックはフリーエージェントになり、チームを退団。昨年から無所属の状態が続いているが、これを事実上の“追放”だとする声もある。 そんなキャパニックを大胆にもイメージキャラクターに起用したナイキ。保守層はこの起用に怒り狂っており、トランプ大統領が「間違ったメッセージを発している」とコメントを出したことを「ビジネス・インサイダー」などが報道。「メンズヘルス」は「コリン・キャパニックの広告掲載でナイキの顧客が靴を破壊」と炎上の様子を伝えている。 “’16年、国歌斉唱中にひざまずいて議論を巻き起こしたキャパニックに対しては、すぐに反対運動が始まった。ツイッターでは、「#BoycottNike」や「#JustBurnIt」といったハッシュタグで異議を唱えるものが現れている。ナイキのスニーカーに火をつけたり、くつ下のスウッシュ(ロゴ)を切り取る人々の写真や動画が見られた。FOXニュースの司会タッカー・カールソンはキャパニックの広告を「国家に対する攻撃」とまで呼んでいる” 人種差別に抗議した選手を起用したことが「国家への攻撃」だと言われるのは、ナイキの同広告がいかに力強いメッセージを含んでいるかの表れだろう。SNS上には靴に火をつけたり、切り刻んだりする動画が多数あがっており、まさにヒステリー状態だ。「CNN」はこの“炎上”を受けて、ナイキの株価が3%下落したと報じている。 また、ネット上にはさっそく保守層の反応を揶揄するMEME(ミーム)が登場。白装束に白ずきんの集団がナイキのスウッシュを燃やしている……という“コラ画像”で「#JustBurnIt」に加担している人をKKKになぞらえるなど、ユーモアを織り交ぜながら切り返している。Believe in something, even if it means sacrificing everything. #JustDoIt pic.twitter.com/SRWkMIDdaO
— Colin Kaepernick (@Kaepernick7) 2018年9月3日
1
2
ハッシュタグ