”唯一神”・又吉イエス候補の元ボランティアスタッフが綴る、イエス氏の思い出

珍しく弱気だった、唯一神の姿

 なお、又吉イエス氏の思想には「唯一神又吉イエスの公平・平等の原理・原則」というものがあり、この過激な唯一神の矛先はライバル候補だけでなく一般有権者に対しても平等に向けられる。 ・こちらを見ながら笑っている者がいようものなら、「バカマネはバカ!」(※ 愚かな行動をするものは、やはり愚かのであるの意) ・ボケーッと演説を聞き流している者がいようものなら、「シラケが!」「シラケるなよ!」 ・騒音クレームをぶつけてくる者がいようものなら、「選挙だからね!」「選挙期間中くらい我慢しなさい!」 ・外国かぶれな服装の者がいようものなら、「バカがぁ!」「バカか!」 ・キャミソールなど露出過多の女性がいようものなら、「ハダカンボかぁ!」「ハダカか!」 ・特に理由は無いながらも気に入らない者がいようものなら、「頭大丈夫かぁ!」  街行く有権者たちも、まさか候補者の選挙演説カーから怒鳴られるということは一切想定していなかったようで、全員がキョトンとしてしまう。  さらに、常時ハイテンションのまま展開される選挙期間も終盤戦に差し掛かると、「唯一神」というキャラクターにも少々変化が生じる。  爆音で再生されるカセットテープだけには飽き足らず、走行中にマイクを握りだす唯一神。そのまま街行く人々に向かい、叫んだ。 「地獄の主だぁ~!」  やはり街行く有権者たちも、まさか地獄の主が自腹で出馬しているという点を瞬時に飲み込むことが出来なかったようで、こちらも同様にキョトンとしてしまう。  もちろんこの調子で東京都内をくまなく移動していれば、当然ながらトラブルにも見舞われる。  選挙期間最終日の新宿駅前、激しい雨の中最大ボリュームでカセットテープを回していたところ、付近のホームレス男性が「うるせー!バカヤロー!」と唯一神選挙カーの前に立ちはだかったのだ。 「どけよぉ!!」  唯一神の怒号に一切臆することが無いというこの神をも恐れぬ罰当たり者の話を聞いてみれば、「ボリュームを下げろ!」と実に真っ当な主張。しかし、この主張は唯一神の逆鱗に触れたようで、「バカヤロー!警察呼ぶからな!」と鉄槌が下ることに。  これにもひるまぬ罰当たり者はそのまま車をバンバンと叩き、挙句の果てにはワイパーをへし折ってしまった。  付近の交番からは2人のお巡りさんが渋々やってきてくれたのだが、どうも様子がおかしい。  話を聞けば、この事案は公職選挙法違反「選挙妨害」に当たるとして刑事課のものでないと対応ができないとのこと。この拘束状態のまま選挙活動期間は終了となり、さらに1時間ほど待たされようやく強面の刑事数名が到着。  ここから改めて調べが開始するのだが、無関係に等しい我々ボランティアスタッフも今後数時間このまま拘束が続くという衝撃の情報が告げられた。この情報にはさすがの唯一神信者である私以外のボランティアスタッフらも反旗を翻し、帰らせろと猛烈に抗議した。  この抗議が何故か認められる形となり、我々ボランティアスタッフにはその後の自由が許された。 「みなさん、よろしければ残っていただけませんか……」  そう心細そうに語る唯一神を残し、ボランティアスタッフらは無言のまま散り散りばらばらの帰路についた――。  結果的に、これが私と唯一神又吉イエス氏が顔を合わせた、最後のシーンとなってしまった。  トラブルやすれ違いなどありながらも一度は選挙戦をともにした者として、唯一神又吉イエス氏の墓前に手を合わせる機会に恵まれることを切に願う。 【ニポポ(from トンガリキッズ)】 2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。 Twitter:@tongarikids オフィシャルブログ:団塊ジュニアランド! 動画サイト:超ニポポの怪しい動画ワールド!
全国の競売情報を収集するグループ。その事例から見えてくるものをお伝えして行きます。
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