「LINE」の中で、サービス向上のため動いている無数の人工知能とは?

不適切画像の排除にもAIが活躍

 メディアファイルを管理するシステムでも、マシンラーニングは威力を発揮する。  画像や動画を分析し、不適切なコンテンツを削除する用途である。ラインのメディアプラットフォーム「ピクセル」では、1日2万件程度のデータをフィルタリングするが、ここ1年間でフィルタリングの必要があるコンテンツ量は15倍に増えという。  一方、運営スタッフはわずか3倍ほどしか増えていない。業務効率化のカギとなっているのはマシンラーニングだ。人工知能がアダルトコンテンツを分類し、その後、人間が確認するというような協業が行われている。「タイムライン」に、ユーザーが興味を持ちそうな記事を配信するのも人工知能の仕事である。購読率を上げるため、ユーザーの行動データをベースにコンテンツを推薦するという。

広告の最適化でも大きな成果

 その他にも、広告運用にも人工知能が利用されている。広告のクリック率(CTR)を予測するマシンラーニング・アルゴリズムが一例だ。  また広告画像の作成には「敵対的生成ネットワーク」(GAN)が使われているという。人工知能導入の成果は大きく、eCPMが2倍上昇したと関係者は話している。なお、昨年までは、一日前のデータを使っていたが、最近では「リルタイムマシンラーニング」も導入。1分、もしくは5分前のデータを使えるほどに性能が向上しているという。 「マシンラーニングの競争力は、最終的にはデータ量」と、LINEプラス関係者は言う。現在では、過去のIDと、現在のIDを分析して同一ユーザーであることを判別するのにもマシンラーニングが使われているという。LINEプラスのソン・ミンチョル氏は、人工知能のカテゴリに含まれる技術や活用事例は多様だが、本質的には「データ分析」だと強調している。人工知能はもはや特別なものでなく、LINEの広告プラットフォームだけでも数多くの関連技術が使われているとの説明だ。 <文/ロボティア編集部> 【ロボティア】 人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』の著者・河鐘基が務める。https://roboteer-tokyo.com/
ロボティア●人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』(扶桑社新書)の著者・河鐘基が務める。
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