沖縄を「日本の都道府県の一つ」として客観視すれば見えてくる異常さ
「安倍首相は日本を取り戻すとおっしゃっておりますが、この中に沖縄は入っているのでしょうか。沖縄が日本に甘えているのでしょうか、日本が沖縄に甘えているのでしょうか」
この翁長氏の問いかけに応えるためにも、まずは沖縄を素直に「日本の都道府県の一つ」として見てみよう。これは沖縄の基地問題等をいったん忘れろというのではない。むしろ、沖縄を宮城や千葉や兵庫や岡山や福岡と変わらぬものだとして素直な目で見てみれば、いかに沖縄が置かれた状況が異様であるかがわかるからだ。そう沖縄をとらえ直せば、他の都道府県では考えられないことを、沖縄が中央から押しつけられていることが改めて実感できるだろう。
その上で、沖縄の人々が沖縄の人々の手で出した判断を素直に受け入れようではないか。そして私のような沖縄の外の人間は、沖縄の人たちが結論を出す議論の土俵を整備することに努めよう。
ただ冷静に「日本の一部」として見つめ直し、今度の知事選もあえて「普通の知事選」だと認識し直せば、逆説的に沖縄の異常さが理解できる。そしてその時、「沖縄に不都合を押しつけるもの」の正体も同時にわかるはずだ。
差別を生む構造との闘いは、沖縄にはない。いま、そこで本欄を読んでいる、貴方のすぐ隣にある。
【菅野完】
1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/)
― なんでこんなにアホなのか ―
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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