元日経新聞記者が指南、ネット株取引で着実に利益を出すための「売りのタイミング」

 元本割れすることなく、ローリスク・ミディアムリターンを狙って着実に利益を出していく“石橋を叩いて渡るネット株投資術”(石橋攻略)。今回は、安値で買った株を売却するタイミングについて解説します。

数日から1~2週間、遅くても1か月程度での売却が理想

株取引イメージ さて、自分が購入したいと思った銘柄をタイミングよく安値で買うことができたとしましょう。次にどのようなタイミングで売却したらよいでしょうか。「石橋攻略」の目標ははっきりしています。1万~1万5000円程度の差益が得られたときです。  最も早いタイミングは午前に買って午後に売れるケースです。こんなケースは滅多にありませんが、何かの理由で午前に安値で買った株価が午後に急騰する場合があります。年に何回かこんな幸運に恵まれることがあると思います。通常は早くて数日以内、次いで1~2週間以内、遅くても1か月以内に売却できるような安値買いが理想です。  もちろんすべてが期待通りうまくいくわけではありません。高値買いをしてしまい、1か月、2か月過ぎても株価が買値以下で低迷している場合も少なくありません。信用取引と違って現物株なので、その場合は持ち続けても構いません。その間、年度末の3月期決算配当、9月末の中間配当の時期をまたげば、配当率の高い銘柄ならかなりの配当金が受け取れます。

長期保有より短期売買のほうが、費用対効果が大きくなる

 現物株の売買はネット取引が普及する以前は、長期保有が一般的でした。すでに指摘したように、高度成長期にはソニーやホンダのような新興企業の優良株を保有していれば、株主優遇の無償増資や高額配当金、株価の上昇などで10年も保有すれば、かなりの財産を築くことができました。「現物株は長期に保有するものだ」という常識が定着したのは、右肩上がりの高度成長時代の産物です。  しかし時代は大きく変わりました。バブルが弾けた後、1990年代初めから20年以上株価は下落・低迷し、まさかと思われるような大企業の倒産も例外ではなくなりました。バブル期から今日まで現物株を保有している個人株主の多くは、株価の下落で資産が目減りした苦い思い出が残っていると思います。いまや現物株を長期保有するメリットはほとんどなくなってしまったとえるでしょう。  現物株も短期売買の対象にして運用した方が費用対効果の面でプラスが大きくなっています。1990年代はまだネット取引が普及していませんでした。しかし今日では、自宅のパソコンで自由に現物株の売買ができる時代が到来しています。
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「押し目買い」のタイミングに習熟せよ
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