元日経新聞記者が指南、ネット株取引で着実に利益を出すための「売りのタイミング」

試行錯誤しながら、押し目買い・高値売りのタイミングをつかんでいく

 現物株も1年以上保有せず、年に数回売買するという原則で、押し目買い(下落したときに購入すること)と高値売りに習熟してください。1~2年の試行錯誤を繰り返せば、そのタイミングが分かってきます。配当金が高く、損切りしてまで売却したくないと思う銘柄は1年以上でも保有し、価格が戻るまで待つのも正当な攻略法です。  売却後、証券会社の自分の口座に現金が振り込まれます。そのお金で、今回売却した銘柄の価格変化をしばらく観察し、購入可能な価格まで下落すれば、再び購入します。その時期が数日内か、週内か、月内にくるか、数か月先になるかは分かりません。その時々の景気動向や円相場、米金融政策の変化などに影響されるからです。株価があまり下がらない場合には、別の銘柄に切り替えるなど弾力的な対応も必要です。 「現物株を売却して利益を得たが、次に何を買ったらよいか分からず不安だ」こんな質問をよく聞きます。株を売却して得た現金をさらに有効に活用したいのだが、何を買ったらよいか分からない、こんな悩みを持つ個人投資家が多いのも事実です。  実際、他の有望銘柄を探すのは至難の業といえるでしょう。特別の情報をもたない素人に近い個人投資家が途方に暮れてしまうのもこの時です。現金を無駄に遊ばせておくよりも何か買いたい、苦し紛れにインターネットなどで推奨されている特定銘柄に手を出し、株価が下落して大損するケースもよく耳にします。

一定のレンジで上下する株を見つけ、それを何度も売買するほうが安心

ソニーの株価(直近) 静岡県熱海市に住む友人からこんな相談を受けました。今年2月初め、価格約5050円でソニーを500株購入したそうです。その後、5400円まで上昇したので売却しかなりの差益を得ました。このお金を使い、別の株を買いたいのだが、何を買ったらよいか教えてほしいという相談でした。  すでに指摘したように、素人が他の銘柄を探すのは難しい。それよりもソニーが安くなった段階で再びソニーを購入したらどうかと忠告しました。今年に入ってからソニーの株価は5000~5500円の間で変動しています。私は新幹線の駅に例えて、次のように説明しました。  始発の東京駅が5000円、横浜駅に着くと5100円。小田原駅が5200円。熱海駅は5400円。さらに熱海を過ぎて静岡駅に着くと5500円。名古屋駅まで待てば7000円になると仮定します。  新幹線ソニー号を始発の東京駅で乗った(買った)あなたは熱海駅で下車し(売り)ましたが、ソニー号はさらに上昇して静岡駅まで行ったとします。そこから新幹線ソニー号はUターンして戻ってきます。横浜駅に着いた段階でソニー号に乗車するか、終着駅の東京駅まで戻るのを待って再び乗車するかはあなたの判断です。  そこからまたソニー号は熱海駅まで戻ってくるので、あなたは下車する選択もあります。ソニー号の勢いが強い場合は、少し頑張って名古屋まで乗車してみる選択もあります。ソニーのように一定のレンジ(上下幅)で変動する銘柄を見つければ、他の銘柄に切り替えるよりも、ソニー株を何度も売り買いした方が安心です。
次のページ 
株価のレンジも業績次第
1
2
3