タイはホテル協会などが「民泊」に対する取り締まり強化を当局に訴えており、これから規制が進むと見られる。なにより、中国人が中国人にカネを落としているに過ぎないのが「民泊」である。しかも、届け出もなにもないため、「民泊」の収入はそのままオーナーのポケットに直行するだけだ。税収もない、民間にもカネが落ちないのであれば、タイ側としてはなんらおもしろみもない。
今のところ中国人の「民泊」が原因で物件価値が下がったという話は聞いていないが、宿泊客の行動がひどくなればバンコクのコンドミニアム販売にも影響が出る可能性もある。
現実的に中国人の「民泊」は増えていると見られ、バンコクの中心部以外でも電車やタクシーに乗り込む中国人を見かけるようになっている。近辺にホテルはなく、どう考えても「民泊」の利用者であると思われる。
フィリピンでは「民泊」が合法で、現地の事情に詳しい人に聞くと、物件管理や宿泊費の受け取り・支払いを代行する業者もいるという。そのため、中国人投資家にマニラなどの人気エリアでの「民泊」への投資が増えているようだ。中国人富裕層が投資先をフィリピンに移していけばいいのだが、中国人観光客からのタイ人気はいまだ高い。
しばらくはバンコクにおける中国人の「民泊」は続きそうである。
プーケットの近くの海。タイ南部の海は美しく、中国人だけでなく世界中の人に人気がある
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NatureNENEAM)>
たかだたねおみ●タイ在住のライター。6月17日に近著『
バンコクアソビ』(イースト・プレス)が発売