須田:バブル崩壊後、日本企業は真面目になり過ぎた、管理し過ぎていると思えてなりません。もっと無責任でもよいのではないか。一人の社員が一人でやり遂げなければならない、完璧を目指すと考えれば考えるほど、ストレスが蓄積し、ある地点からパフォーマンスが落ちてしまうのです。
社員も仕事をひとりで抱え込まないで仲間を大勢巻き込んだり、クライアントを定期的に変えたりすると、ストレスが高まりにくく、生産性が上がりやすくなるように思います。真面目に考え過ぎないことです。
山口:大企業から中小企業まで多くの企業が、一人でやり切る、できるだけ長く、できるだけ大きい仕事を一社から引き受けるという、ユナイトアンドグロウとは真逆の発想で仕事を進めているように思います。
須田:シェアード社員の仕組みは、ユナイトアンドグロウが開発し、商標登録して事業展開していますが、いろいろな会社に真似をしてもらえればと願ってやみません。ビジネスパーソンひとりひとりが、時間と知識と技量をシェアしていけば、まだまだ生産性が上がります。そのことが、日本のビジネスひいては国民の幸せの実現に間違いなくつながるからです。
シェアード社員のしくみは、社員の自由意思を最大限尊重し、社員の自由裁量を極大化する手法でもあります。この方法であれば、休暇取得の自由度は間違いなく高まります。月曜午前に決め打ちするのではない、クライアントが働いてほしい時に、できるだけ短時間で価値を生み出すことを前提に、クライアントの都合と自分の状況をマッチングさせて、休暇取得を実現できる具体的手法なのです。(モチベーションファクター株式会社 山口 博)
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第97回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある