不動産執行に携わる者が最も恐れる地獄の存在、“特殊不動産屋”とは<競売事例から見える世界12>

特殊不動産屋の悪辣な手口とは

 多くの人が一生に一度の大きな買い物としている不動産売買。しっかりと説明を聞き、注意事項を洗い出し、疑念に対する明確な回答あるいは補填を受けたうえでの納得した購入があるかと思うが、実はそれでもまだまだ隠されている落ち度であったり、明確にされていない箇所があったりする。  中には販売業者すら気がついていない落ち度や、行政の不手際によるチグハグな線引などもあるため、一概に販売業者だけを悪者には出来ない。  兎にも角にも不動産には想像以上の権利や思惑、誰かの利益優先で生まれた歪や、行政の不手際登録。これらが土地、建物、地上、地下とあらゆる箇所に地雷のごとく点在しているのだ。  このような普段は不明瞭な部分に関しても、不動産執行ではしっかりと調べ上げ、記載してからの販売となるため、訝しげな目を向けられがちな競売物件だが、実は最高峰の信頼が置ける不動産販売所という一面も持つ。  一方で、しっかりと調べ上げられているはずの競売物件だけに、前記のような不動産に点在する地雷のような問題が一つでも見落とされていれば一大事だ。  察しの良い方は既にお分かりかと思うが、競売物件を購入した上でこのような地雷を掘り起こし、「話が違う」と損害賠償を請求にかかるというのが、不動産執行人を喰らう特殊不動産屋のやり口。  測量ミスや古い役所の多重登録、みなし道路の敷地後退(セットバック)に合意していない住人がいるなど様々な理由から、実際は再建築不可物件だったという地雷が発見されてしまえば、もう裁判ではまず勝てない。国家賠償となるか、不動産鑑定士が個人的な補填として多額の金銭を支払わされるハメになる。  実際に数百万円を支払った不動産執行チームの人間も複数いるため、この地域での調査は裏取りや抜けの確認などが幾度もチェックされるという厳戒態勢が敷かれている。  現場の人間の多くは彼らのような特殊な不動産屋が、細かい重箱の隅をさらに顕微鏡とピンセットでつつくような“地雷探し”を出来るとは思っていない。  おそらく過去に不動産執行に携わっていた執行官、不動産鑑定士、弁護士といったメンバーとグルになり、知恵を借りているのだろうと踏んでいる。  不動産執行に携わるものたちが最も恐れる存在。  ベールを剥ぐと、そこにいたのは同じ不動産執行人。そんな不条理アニメ最終回のようなオチになっていなければ良いのだが。 【ニポポ(from トンガリキッズ)】 ライターの傍ら、債務者の不動産を競売にかける『不動産執行』のサポートも行う。2005年トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。 Twitter:@tongarikids オフィシャルブログ:団塊ジュニアランド! 動画サイト:超ニポポの怪しい動画ワールド!
全国の競売情報を収集するグループ。その事例から見えてくるものをお伝えして行きます。
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