毎年1億円の赤字を出すどん底ベンチャーを救った「新卒5年目」くらいの若手社員たち

採算見直しのための「ユニット化」の副次的効果

 IT業界は変化が激しい業界だ。そのため、当初は事業のPLの見直しとして採用していたユニット制だが、機動力の高さが時代に応じた動きを可能にしたのだという。 「当社のようなベンチャー企業に必要なのは、大きな部署でマネジメントする人材ではなく、小さくてもフラットな組織でリーダーシップを発揮できる人材です。誰かの命令で動く人間より、まず自分から行動を起こせる人ですね。こういう人材の育成にも、上下関係なく、誰もがフラットに活動できるユニット性が最大限に活かされることになったんです」  新卒5年目くらいの若手社員に何ができるか? そんなことを思ってしまう人もいるかもしれないが、実際はそうではなかった。 「新事業を開拓して、事業の業績が伸びる原動力となったのは、ほとんどがこうした若手社員でした。というのも、当社はもともと起業精神の強い人材を採用はしていた。大きな部署で、年功序列のシステムよりも、いいアイデアを思いついたら即座に実行できるリーダーシップを発揮するのには、ユニット制のようなフラットで開かれた組織が最適だったんです」  こうして組織改革の結果、業績をV字回復させた同社だが、その甲斐あってかいまはスマホのコンテンツ事業だけではなく、クラウドソーシング事業でのモンゴル進出や、ふるさと納税市場に進出し、企業の福利厚生の一環としてふるさと納税を利用できるシステム「オフィスでふるさと納税」を企業向けに販売したり、さらにはモンゴルでの基盤を活かし仮想通貨マイニング支援サービスを立ち上げるなど、時代に即応した事業をいち早く展開する体制を可能にしている。  若手社員は、意欲的に新しい分野に挑戦することを厭わず、自発的に動くことで自ずとリーダーシップが養われる。そして最後の決断を社長である末田氏が行う。 「若手は未熟かもしれませんが、元気に走り回ることができる。未熟な部分は、社外からさまざまなジャンルに精通した重鎮を招き、いつでも支援をいただけるようにしています」 <取材・文/HBO取材班>
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