アメコミドラマに初のレズビアンヒーロー主演作が登場。ヒーローの世界は現実の先を行く

CW製作ドラマにはLGBTQが多数登場

 今回の件では、自身もレズビアンである人気女優がレズビアンのヒーローを演じるといったことが注目されているが、実はLGBTQのヒーローが登場するのは初めてではない。例えば、今年公開された『デッドプール2』では、日本人女優の忽那汐里が同性と付き合っているミュータント、ユキオを演じている。  さらに『バットガール』が放送されるCWでは、すでに数多くのLGBTQのヒーローや役者が登場している。  一連のDCコミックス原作ドラマのひとつ、『ARROW/アロー』でアーセナル(=ロイ・ハーパー)を演じているコルトン・ヘインズは’16年にゲイであることをカミングアウトし、’17年には同性婚をしている。同じく『ARROW/アロー』でマルコム・マーリンを演じ、イギリスの長寿ドラマ『ドクター・フー』にも出演しているジョン・バロウマンもゲイであることをカミングアウトしており、’13年に同性婚を果たした。  彼らの公式フェイスブックページには、それぞれのパートナーと仲睦まじく過ごしている様子が頻繁にアップされているので、コアなアメコミや海外ドラマファンにはすでにお馴染みだろう。 『レジェンド・オブ・トゥモロー』に出演しているキャプテン・コールド(=レナード・スナート)役のウェントワース・ミラーも’13年にゲイであることをカミングアウト。『プリズン・ブレイク』などでも活躍していたので、ご覧になったことのある読者も多いのでは?  また、『ARROW/アロー』や『レジェンド・オブ・トゥモロー』に登場するキャラクター、ホワイト・キャナリー(=サラ・ランス)はバイセクシュアルという設定。『ブラックライトニング』(日本ではネットフリックスで配信)には、サンダー(=アニッサ・ピアース)というテレビ史上初の黒人レズビアンヒーローも登場している。  大物女優の参加でスポットライトが当たるのは喜ばしいことだが、このようにそれ以前から、さまざまな役者やキャラクターの活躍があったことも知っておくべきだろう。  かつてはヘテロ白人男性の独壇場だったスーパーヒーローの世界。しかし、広がり続けるヒーローの世界における「公平さ」という正義は、現実よりも先を行っているのかもしれない。 <取材・文・訳/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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