なぜ今までになかったような豪雨が起きたのか? その背景に「温暖化」の影響か

壺口瀑布

中国・山西省の黄河流域にある「壺口瀑布」という滝では洪水による増水で壮絶な光景となり、観光客が大挙して押し寄せている 写真/時事通信社

 北陸地方の大雪、西日本豪雨、連日の猛暑など、今年に入って異常気象が頻発している。実は、それは世界でも同様で、その大きな要因には「地球温暖化の進行」があった!

豪雨・洪水 気温・海面水温の上昇が豪雨増加の一因!?

 7月上旬に西日本を襲った豪雨について、「温暖化の影響」との見方がある。気象庁に聞くと「西日本豪雨の直接的な原因は、高気圧に挟まれ、西日本上空で停滞した梅雨前線に、東シナ海や太平洋から膨大な水蒸気が供給され続けたから」とのこと。  これらの現象と温暖化との関係については「まだ解析中」と明言を避けたものの、「温暖化の進行はすでに始まっており、豪雨の増加傾向はアメダスなどの観測結果からも明らか」だという。  同庁気象研究所は「気温の1℃上昇で雨量は4~13%程度、海面水温の1℃上昇で7~19%程度増える」との観測結果に基づく見解を’14年に発表。気温や海水温の上昇で、大気中の水蒸気が増加することなどが要因だとしている。  環境NGO「グリーンピース・ジャパン」のエネルギープロジェクトリーダー・高田久代さんは「日本の豪雨災害や猛暑は、『温室効果ガスの濃度上昇による影響として一般的に考えられる長期的な傾向と合致する』と、世界気象機関(WMO)も発表しています」と語る。  世界的に見ても異常な大雨や水害被害が各地で相次いでいる。イスラエル在住の著述家、ガリコ美恵子さんは「今年4月の天候は明らかに異常でした」と語る。 「イスラエルからパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にかけて、大雨や洪水、雹などで若者ら十数人が亡くなりました。少雨で乾燥した中東で、このような災害が起きることは、とても珍しいことです」  中東では今年5月に、イエメンやオマーンをサイクロンが直撃し、水害被害をもたらしている。昨年秋にはサウジアラビアの砂漠地帯も大洪水に見舞われた。  ラオスでは、同国南部に建設中のセピヤン・セナムノイダムの補助ダムが連日の長雨で7月23日に決壊、大規模な被害をもたらしている。環境NGO「メコン・ウォッチ」の木口由香事務局長は、「現地報道などによれば、周辺の5つの村が被害を受け、約6600人が家を失ったとのこと。数百人の人々が行方不明で、被害の拡大が懸念されます」と言う。  7月上旬にはロシアのモンゴル国境付近の地域ザバイカリエで観測史上最大の洪水が発生。中国では今夏、全土で洪水被害が起きていて、少なくとも1000万人超が被災しているという。日本だけでなく、世界中で未曾有の豪雨・洪水被害が起きているのだ。
朝倉市の水害

朝倉市の水害 写真/時事通信社

《西日本を襲った「想定外」の豪雨》  昨年7月の九州北部豪雨で、朝倉市などを中心に大きな被害があった。その被害総額は2240億円。水没した倉敷市真備町などをはじめ広範囲に及んだ西日本豪雨の被害額は、それよりも桁外れに大きいと予測されている。 ― 地球温暖化に殺される! ―