韓国で声をあげた幼きフェミニストへの壮絶いじめに対し、SNSで広がる共闘の輪

学校は解決してくれずツイッターで全世界に悲痛な訴え

 ちなみに「ボイル」とは、韓国の人気ユーチューバーのポギョムが使い始めた言葉で、名前のポギョムの「ポ」と流行語の「ハイル」を組み合わせた造語。彼やファンたちはこの言葉を挨拶のように使っている。  ポギョム自身は性的な意味合いはないし誤解だと主張しており、歪曲して流布している人には法的措置も考えていると言っている。  しかし、イさんにとっては「ボイル」の語源がどうであろうが関係はない。イさんはこの被害を、SNSで話題になっている「#청소년페미가_겪는_학교폭력(♯青少年フェミが受けた校内暴力)」というハッシュタグで全世界に暴露した。 (当該ハッシュタグ拡散元のアカウントでは、京畿道教育庁に学校内女性差別根絶を訴えネット署名を呼びかけている。「メスブタですが?」と挑発的な文言も)  先月末から始まったこのハッシュタグ運動は、フェミニズムを勉強し主張するという理由だけで男子学生から深刻な言語的・身体的な校内暴力を受ける青少年フェミニストの悲痛な声で連日溢れかえっている。 「男子学生たちから『クソまじめなメガル』と言われています。教科書に牛乳をかけられたり、椅子に画びょうが置かれたり、わたし一人だけプリントをもらえなかったりした。家に帰ってカバンを開けると赤いボールペンで『メガル』、『死ね』などの言葉が書かれた紙がいっぱい入っていた」(Twitterより) 「休み時間に『娼婦』、『胸が小さい』、『性器が黒い』など言われた。廊下を歩いていると頭を叩かれ続けた。男子学生は私の頭を叩くたびに喘ぎ声をあげるのです」(Twitterより) 「学校でフェミニストサークルに入ってから男子たちが精神病者と言ってくる。授業中に男子たちが言葉の暴力を発しても先生は静かにしましょうと言うだけだ」(Twitterより)  青少年フェミニストたちは、校内暴力の被害を告発する運動だけでなく、根本的な問題解決を促す運動へと進み始めた。  このハッシュタグ運動を主導したTwitterアカウント「青少年フェミが受けた校内暴力(@sv_out)」は、ソウル市教育庁にこの問題の解決を要求する請願運動を行うとポスターを掲示した。  同アカウントは「教育機関で具体的な案が出るまで彼女らと共に戦う」という意志を明らかにしている。 「ボイル」という言葉を学校で禁止しようと訴えたイさん。言葉は何かを訴える「武器」にもなるが、それは翻って自らを傷つけもする。幼いフェミニストの悲痛な訴えを韓国社会はどう対処していくのか。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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