かつての政敵が30年ぶりに急接近。小泉元首相、小沢一郎・自由党代表に「原発ゼロ」で安倍政権打倒を助言!?

原発再稼働を進める安倍首相に小泉元首相「残念だ」

小泉氏が小沢氏と握手

握手する小泉元首相と小沢代表

 囲み取材が終わった後で両者はガッチリと握手をした。かつて首相時代に官房長官に抜擢し、後継の総理大臣となった安倍首相にとって、小泉元首相は“育ての親”のような存在。しかし今回は、安倍首相に対して諦めに似た発言もしていた。 「まあ(安倍首相は)私の考えとは違うけれどね。彼は彼なりに一人の政治家として(原発は必要と)思ってやっているのだから『私の言うとおりにやれ』と言っても『やる』という状況ではない。だから任せています。余計なことは言わない。  でも残念にも思っているのは、総理が原発ゼロに舵を切れば、野党と一緒に実現できるのに、できるチャンスを逃しているのは『惜しいな』『もったいないな』と。恵まれた立場の総理大臣が、やらなければいけないことをやらない。『残念だな』と思っています」  また小沢代表との連携について聞かれた小泉元首相は、こう答えた。 「原発ゼロ運動は今までは野党系・革新系、いわゆる左派の人たちが多かった。これからは保守と言われてきた人たちが原発ゼロの声を上げていくのが大事だと思います。『与党も野党もない。保守も革新もない』という国民運動を盛り上げるためには、『保守』と言われた小沢代表と一緒にやっていくのは大事だと思います」

小泉元首相「参院選は野党が候補を一本化し、原発ゼロで戦えば絶対勝つ」と助言

 そこで筆者が「保守の安倍総理が、原発推進であることについてどう思いますか」と聞くと、小泉元首相はこう答えた。 「(安倍首相は)もう原発ゼロに切り替えることはできないでしょうね。しかし、いずれ将来はそういう人が出てくると思います」
野党にエール

小沢一郎政治塾で小泉元首相が講演会をしたきっかけとなったのは、新潟県知事選告示前日に野党系候補・池田千賀子元県議(左から2人目)と握手し、エールを送ったことだった

 この後、両氏は都内のホテルで会食した。そこでも、小泉元首相は「参院選は野党が候補を一本化し、原発ゼロで戦えば絶対勝つ」と助言したという。講演では戦国時代の歴史に触れながら、約70人の塾生らに「敵味方はしょっちゅう入れ替わる。小沢さんとは敵になったり、味方になったりだが、わだかまりはない。だから来た」と語っていた。  かつて後継者として育てた安倍首相を敵に回し、小沢代表と「原発ゼロ」で連携することとなった小泉元首相。2005年に「郵政民営化イエスかノーか」の“郵政選挙”で圧勝した小泉元首相が今回、「原発イエスかノーか」を問う“原発ゼロ選挙”を小沢代表に勧めた。来年の参院選に向けた野党選挙協力の切り札になるかどうかが注目される。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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