知名度の高いIT企業続々参入で、仮想通貨投資は「今からでも遅くない」状態になるのか?

「その意味では、知名度の高いIT企業が続々と仮想通貨に参入してくるのも好材料。今後はサイバーエージェントやLINEが取引所開設を目指し、メルカリが仮想通貨決済を導入しようとするなど、仮想通貨自体のすそ野がどんどん広がっていく。そうなると新規マネーの流入が期待できます」  また、これまで仮想通貨を敬遠していたFXトレーダーなど投資家の資金が入ってくることも予想できるという。 「すでにFXから仮想通貨に多くの資金が流れ込んでいますが、一方で『安全性や取引システムが不安なので、まだ手を出すのはやめておこう』と控える人も多かった。安心して売買ができる環境が揃えば、さらに鞍替えする人も増えると思います。しかもFXはレバレッジを10倍に引き下げる規制が控えている。よりボラティリティが高い仮想通貨に魅力を感じる人は増えるでしょう。これまでは『仮想通貨=投機的な商品』というイメージが先行していましたが、マーケットがどんどん成熟すれば、れっきとした投資として市民権を得るはずです」  では、BTC価格はどこまで伸びると予想できるのか? 「今年後半にかけて緩やかに上昇し、夏頃には100万円台の壁を超えてくるでしょう。その後、300万円台後半~400万円台を目指すとみています。今年中にそこまで到達するかは難しいですが、少なくとも昨年の最高値(約260万円)は抜いてくるのでは」  仮想通貨ドリームはこれからが本番。とはいえ、昨年の高騰に釣られて参入した人が高値摑みをしたように、本格的な上昇が始まってからではなく、今のうちに基礎をたたき込むのが重要だ。 《主な仮想通貨に参入予定の企業》 ●CyberAgent  いったんは仮想通貨取引所の設置を目指すも、競争の激化と登録手続きの長期化により断念。しかし、’19年にも独自の仮想通貨を発行し、ゲーム分野など複数のサービス上で使えるようにする方針だという ●avex  ’17年5月に「エンタメコイン株式会社」の設立を発表。現在は「仮想通貨交換業」への参入も検討中だ。チケットやグッズの購入での決済機能をひも付けできるプラットフォームなども提供する予定 ●MIZUHO  ’17年9月に構想を発表した、電子マネーのように決済ができる独自の仮想通貨「Jコイン」の開発を進行中。’17年8月、「Jコイン」を実際に使用すべく、口座保有者を対象とした実証実験の実施を発表 ●MUFG  MUFGは独自の仮想通貨「MUFGコイン」を’19年にも発行し、実証実験を行う予定。また、米最大手の取引所で2000万人の顧客を持つ「コインベース」と提携し、同社の日本進出を支援する方針だ ●LINE  ’18年1月に資本金50億円で「LINEフィナンシャル」設立を発表。LINEで培ったセキュリティ技術を生かして交換業などを始める見通しだ。現在、金融庁への登録審査中で、サービスの開始時期は未定 ●mercari  ’17年11月に金融関連サービス子会社の「メルペイ」を設立し、’18年内にも仮想通貨での決済を導入する予定。現在、金融庁に仮想通貨交換業の登録も申請中で、今後は「ビットコイン」など主要仮想通貨で支払えるようにする ●Yahoo!JAPAN  ’18年4月に子会社の「Zコーポレーション」を通じて、仮想通貨交換業「ビットアルゴ取引所東京」へ資本参加することを明らかにした。仮想通貨関連サービスの開始は’18年秋の予定だという ●gumi  ’18年5月、連結子会社の「gumi ventures」を通じて、仮想通貨投資ファンド「gumi Cryptos」の設立を発表。ファンド規模は3000万ドル(約30億円)で、まだ具体的な事業内容は未定になっている
田代昌之氏

田代昌之氏

【田代昌之氏】 フィスコデジタルアセットグループ代表取締役。仮想通貨だけでなく先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析。近著に『プロはこうやって儲ける! ビットコイン相場の読み方』(実業之日本社)がある ― 今さら聞けない[仮想通貨]入門ガイド ―
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