退職した元日経新聞記者が、大損から一転、元本割れを起こさずに年平均231万円の利益を上げるまで

PCが使えれば 私が日本経済新聞社を定年の70歳で退職したのは、2010年3月末でした。松井証券のネットストック口座を開設したのが2004年なので、それまで6年ありました。この間、教育優先で取り組み、時間を見つけてネット株取引のノウハウを自分なりに身に着ける努力をしてきました(前回記事「退職後の株投資で大損こいた元日経新聞記者が辿り着いた『ほどほどの利益を得る』投資術」参照)。  というのは、定年退職後の収入は年金とわずかの講演や原稿料などで、現役時代と比べて大幅に減少してしまいました。これまで貯めてきた定期預金などを食いつぶして生活するのでは、なんとなく先行きが不安です。「余裕資金を有効に運用して、定年後もそれなりの生活を楽しめるお小遣いを稼ぎたい」。こんな気持ちを持っていました。  口座開設からの6年は、そのための準備期間として位置づけました。ネット取引の仕組みを十分研究したうえで、現物取引、信用取引、銘柄の選定、取引単位、株式を買うタイミング、売るタイミング、信用取引と現物取引のベストミックスなど、様々な試行錯誤をしてみました。準備段階なので、余裕資金の25~50%の資金規模で、いろいろな実験をしました。

「元本割れ」しても動揺せず一年単位で考える

 私の目標は「石橋を叩いて渡るネット株攻略」。「石橋を叩いて渡る」ということは、元本割れを起こさないことです。とはいっても株式投資ですので、「100%元本割れなし」というわけにはいきません。元本割れした場合は、できるだけ早く元本回復のための対策をすることが必要です。  取引期間は1~12月までの1年単位で考えます。利益が得られれば、そのつど2割の税金が差し引かれますが、逆に損を出した場合は2割の税金が還付されます。これは投資家にとって魅力的な制度です。  石橋叩きのネット株攻略法は誰でも挑戦可能です。余裕資金が100万円しかない人でも、年間10万円の利益を目指して上手に100万円を運用してください。ただし100万円で購入できる銘柄数は1~2本に限られますので、銘柄選び、購入時期には慎重さが必要です。  石橋叩き攻略法に最も向いているのは、1000万~2000万円程度の余裕資金のある人です。そうなると現役を退職し、余裕金として退職金などが使える私のような高齢者に特に向いているように思います。巨額の資金を投入して「ハイリスク、ハイリターン」を目指す人や、200万~300万円を投入し信用取引枠をフルに拡大させて勝負をしたい人などにはまったく参考になりません。  さらにもう一つ付け加えると、インターネット、パソコンなどの知識を持っているということ。といっても細かな知識は不要で、株式売買や銘柄選定などに必要な最低の知識があればいい。  切羽詰まったおカネではなく、わずかでも余裕金のある人なら、私が6年間あれやこれやの試行錯誤から導き出した「ローリスク、ミディアムリターン」の基本手法を駆使すれば、元本を減らさず、投入資金の1割程度の利益を上げることができると思います。  その過程でも「ああした方がよかった」、「あの時こうすべきだった」などの反省点は毎日のように発生しています。その点からいえば「石橋を叩いて渡るネット株攻略法」の完成度は、まだ7~8割程度。改善の余地はまだまだあります。
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「儲けてやろう」と思うと損する
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