愛人マーケットから「まともな女性」が減っていく理由<現役愛人が説く経済学44>

愛人マーケットでも「悪貨は良貨を駆逐する」

「悪貨は良貨を駆逐する」という、有名な法則がありますね。  16世紀のイギリス国王財政顧問、トーマス・グレシャムが唱えた法則です。たとえば市場に出回る貨幣に、同じ額面金が多く含まれているものと、そうでないものが混じっていた場合、金が多く含まれている貨幣は「価値が高いから」と退蔵され、市場に出回らなくなります。結果的に、マーケットでの支払いに使われるのは価値の劣る貨幣だけになり、悪貨ばかりが流通することになります。  愛人市場におけるコミュニケーションも、これとまったく同じです。売春と化した「#パパ活」の流行により、男女ともに短絡的で物理的な快楽のみを追い求めるプレイヤーが目立つようになりました。悪貨は良貨を駆逐し、男性が理想としがちな「まともな女性」はなかなか見つかりません。 「まともな女性」とはなにかということですが、常識的な金銭感覚をもち、常識的なコミュニケーションができる健やかな女性といったところでしょうか。そもそもこうした女性は、愛人バンクに登録してもすぐに契約先が見つかり、1人ないし複数人の富裕層男性が独占してしまいますから、マーケットにいつまでも居続けることはありません。  私自身はといいますと、こんな連載をしているくらいですから、自分が「まともで健やかである」と胸を張ることはできませんが、愛人バンクに登録して初めて出会った男性と深い関係になり、表向きの愛人探しは数ヶ月で終わりました。  さらに私と契約してくださった男性からは、「君に出会えたから愛人探しはもういい」との文言を得ております。ほぼ全員が愛人バンクの次年度更新をしていないことからも、安定的な愛人を確保できた男性プレイヤーは市場から退却することが分かるでしょう。  もちろん「我こそ良貨である」と威張る気持ちはありませんが、私は自分を悪貨であるとも思いませんし、顧客男性との関係は少なくとも、一夜限りのパパ活援助交際とは一線を画するものであると自負しているのです。 <文・東條才子>
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