ストーンズのワルシャワ公演でミックが発した「謎の言葉」の意味とは? 閉塞したポーランド社会に風穴を開けるか?

ポーランドの『Wyborcza』は同国のライブでミックが発したメッセージを好意的に取り上げている

 ロシアW杯で、「ミック・ジャガーがスタンドで応援したチームが負ける」という「ミックの呪い」が話題となっているザ・ローリング・ストーンズ。ツアー日程をズラしてまでイングランド対クロアチア戦を現地で観戦したが、結果は残念ながらイングランド代表が敗退。3大会連続で「ミックがスタジアムで応援したチームが負ける」というジンクスが継続している。

「判事になるには年を取りすぎた」発言の意味とは

 母国での5公演を含む、ヨーロッパーツアーを行ったストーンズ。「ミックの呪い」の陰に隠れてしまう格好となったが、実はツアーファイナルとなったワルシャワ公演でミックが発したメッセージがポーランド国内で波紋を呼んでいる。 『Wyborcza』紙が伝えるところによると、国立競技場で行われたライブ中、ミックはポーランド語で大観衆に向かって次のように語りかけた。 「判事になるには年を取りすぎたけど、歌うにはじゅうぶん若いぜ」  74歳のミックが自らを「まだまだ若い」と言うのはロックファンにとって胸が熱くなるメッセージだが、注目してほしいのは「判事になるには年を取りすぎた」という部分。日本だけでなく、世界中ほとんどのファンが「何のことやら……」と感じるはずだが、いったいどんな意味があるのだろう?  発言の背景にはポーランドの最高裁判事の定年が引き下げられたという事情がある。今月4日、従来の70歳から65歳へと定年が下げられた結果、現職判事の3分の1が退職を余儀なくされることになったのだ。  イギリスの『ガーディアン』などの欧州メディアも注目する定年引き下げ問題には、EUも批判的。右派であり民族主義的・反リベラル的価値観を掲げる保守与党の「法と正義」が司法制度を支配し、政権の基板を強めようとしているといった声があがっている。  この問題を取り上げた『ガーディアン』の記事では、最高裁トップで退職の対象となったマウゴジャタ・ゲルスドルフ氏が白いバラを持って最高裁に向かう様子が紹介されていた。  最高裁判事の定年引き下げに対しては、ポーランド国内でもデモが起きるなど反対の声も強い。しかし、モラヴィエツキ首相は国内外からの批判に対して、「どのEU加盟国も伝統に基づいて、司法制度を作る権利がある」と、どこ吹く風だ。  立法・行政・司法の関係性については、日本やアメリカでも近年議論が巻き起こっているが、ポーランドも例外ではないのだ。  そして、ミックはこの問題について彼なりの言葉で聴衆にメッセージを送ったのである。
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パール・ジャムも政治的メッセージを発信
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