米ウォルマートが西友を売却か? 果たして西友の将来は?

気になる西友の将来は……

西友では老朽店舗の閉店が進められている。写真の小金井店は1965年築であったが、2017年に閉店した

 さて、我々消費者が気になるのは、もし売却されたとしたら、「西友のこれから」はどうなるか、だ。  最も可能性が高いシナリオは、2002年のウォルマートへの売却時と同様に「一旦大手商社や投資ファンドの傘下に入る」ことだ。  先述したとおり、西友をウォルマートに売却したのは住友商事であった。当時から住友商事は傘下にスーパーマーケット「サミット」を持っていたが、サミットは首都圏中心の展開であり、全国チェーンである西友をそのまま引き継ぐことは難しかったであろう。結果的に、ウォルマートという「黒船」が現れたため、同社に一括譲渡されることになったが、もしそうでなければ「西友」の屋号は紆余曲折の末2000年代に消えていたかも知れない。  もちろん、仮に西友が今回も商社やファンド傘下となった場合は、賃貸契約の見直しや不採算部門などの整理が行われたのち、再び他の流通企業へと経営譲渡されるであろう。そうなると、今回も全店舗を大手流通企業が一括して引き継ぐというのが理想形だ。しかし、西友の売却額は3000億から5000億円にも達すると言われており、総合スーパー事業に対してそれだけの資金を投入できる企業は限られる。  2018年現在、大手流通企業のうち西友と同様にほぼ全国全てのエリアで生鮮品を取り扱う大型店を経営しているのはイオン、ドン・キホーテくらいだ。  これまで日本における外資系スーパーは、2000年にカルフール(仏)がカルフールジャパンを設立して進出、また2003年にテスコ(英)がつるかめランド(社名:シートゥーネットワーク)を買収して進出したものの、前者は2005年にイオン傘下・2010年にイオンリテールに統合(なお、同時にマレーシアのカルフール店舗もイオンとなった)、後者は2013年にイオン傘下・2014年にマックスバリュに統合されており、いずれもイオングループの店舗となっている。

一時期外資系となっていたつるかめランド。現在はイオン傘下だ(亀戸店、閉店済み)

 しかし、西友はそれら2社よりもはるかに規模が大きい。イオンはマイカル、ダイエー、マルエツ、ヤオハンなど数多くの大手スーパーを傘下に収めた過去があり、その店舗網は膨張を続けている。仮に西友もイオンが引き継ぐとなると、その理由は「優良店舗を他社に取られたくない」ということになろうが、特に首都圏外ではイオンの既存店舗と西友の商圏競合が多く、数年後には築年数が浅い優良店舗以外、旧・西友店舗の大半が閉店してしまう可能性も高い。  一方のドン・キホーテは長崎屋を傘下に収めて以降、スーパーマーケット運営のノウハウを蓄積しており、昨年は渋谷に総合スーパーを出店したことも話題となった。ここ最近は毎月新規出店がある成長株でもあるが、300店舗以上の総合スーパーを一気に引き受けることができるかとなると疑問が残る。

2017年に渋谷に総合スーパーを出店させて話題となったドン・キホーテ(メガドンキ渋谷店)

 現実的に考えられるシナリオの1つが、投資ファンドなどの傘下となったまま「小売業を廃業し、不動産業へと転換」することだ。
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あの大手IT企業も参戦!?
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