設定する目標によっては、5つのプロセスに区分できるような取り組みではなく、ひとつひとつが独立しているアクションを数多く実施するという性質の業務も、特に管理部門にはあるだろう。例えば、
申請書の処理業務の類だ。
そうした業務の場合も、行動内容を分解して、申請書の受領、内容確認・修正、提出の3つの内容にできる。進捗については、前述のプロセス改善のように、着手、半分以上実行、完了というような3つの進捗区分はそぐわなかったとしても、
やったか、やらなかったかという区分はできる。
このやったか、やらなかったかの区分は、それ自体はとても単純だが、数が集まれば、意味をもつ。つまり、申請書の処理業務を一定期間内に25回処理したとする。行動内容は3つに区分されているので、計75の行動内容について、やったかどうかのカウントができるのだ。これも、業績達成度合を図るには十分な量ではないだろうか。
このように行動内容と進捗度合を分解していくと、一見、数値化がむずかしそうな、例えば管理部門における業務内容でも、数値測定が容易になる。
4月から3か月経過した、業績確認のための上司との面談で、漠然とした印象で評価されてしまうようなことが繰り返されるのであれば、
先手を打って、自らの行動内容と進捗度合を数値化し、自己採点した内容を提示することは、とても有効だ。
漠然とした印象を根拠づける材料を提供することになるかもしれないし、単なる印象は、厳然たる事実の集積によっていくらでも変わるものなので、より説得力ある取り組みの根拠を提示することになるかもしれない。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第90回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある