50代社員が生き残るには「手に職」と「おやじ力」

やれ、「ゆとり世代はガッツがない」「バブル世代はお調子者で仕事ができない」「団塊世代はもらうだけもらった逃げ切り世代」……。とまあ、世代間のディスり合いは常に不毛なものだが、実は今、こっそり会社でお荷物となり疎まれているのが「50代」だという。昭和の“企業戦士”の最後の世代、気づけば“老兵”となった彼らが巻き起こす混乱を見ていこう。

“専門”と“好き”があれば、いつでも求められる場所はある

50代社員が生き残るには「手に職」と「おやじ力」 業界自体が若いうえに過去に大規模なリストラを行い、そもそも50代以上が少ない某ゲーム会社。さらに、リーダーシップのある人は40代までに独立するため、会社に残る50代といえば、一握りの役員クラスか、総務系で黙々と働くおじさんたちだという。  そんななか、異彩を放つ53歳のサウンドクリエイターに、知財関係の部署で働く桜井賢治さん(仮名・40歳)は注目をしている。 「彼はもともと“音楽を作っていれば幸せ”という職人肌タイプ。そもそも好きだから、50代になっても流行に敏感だし、制作サイドの要望に応じてどんな曲でも自在に作る。見た目もカッコいいし、年齢を感じさせないんですよ」  いくつになろうと、培った腕が生きる職種はやはり、強い。 「サウンドは企画と違って売り上げや成果を問われないので、プレッシャーも少ないのもいいんでしょうね。部下はほとんどいないんですが、そもそも、出世志向もないみたいで。そこそこの給料をもらって悠々自適に好きな曲作りを続けてる感じ。やっぱり会社員も専門だなぁとつくづく思いますよ」  ほか、定年後に嘱託社員として働く数少ない60代を見ても、数字に強く、楽しそうに売り上げ計算をするおじさんや、海外経験が豊富で英語が達者な法務の人など、やはり“手に職”の人だという。 「この業界、発想力は40歳くらいが節目だと言われていて、基本的には若さが重宝される業界です。でも、調整力やグレーゾーンを泳ぐ力など、おやじ力が必要な場面もある。そこで求められる能力があると強いんでしょうね」 取材・文/五十嵐ナナ 志賀むつみ 古澤誠一郎 鈴木靖子(本誌) イラスト/マスリラ