世界経済失速によるリスクオフで円高に!? 闇株新聞氏が読む「注目すべき銘柄」とは

TOBで割高水準にあるユニー・ファミマHD

 もう1つ、セメント業界3位の住友大阪セメントをあげておきましょう。’18年3月期は減益決算でしたが、今期は前期比2.5%増の経常増益となる予想を発表しています。いまだ国内の建設需要は旺盛で、セメント価格は石炭価格や物流費の上昇分を転嫁するかたちで値上げが進んでいます。6月には発行済み株数の2.6%に相当する自社株買いを発表して好感買いを集めました。年初から下げ基調だった株価は底を打ったと見ていいでしょう。  逆に、空売り推奨銘柄は無数にあります。一部だけ紹介すると、筆頭はソフトバンク。これまで、携帯電話事業者であるためPER(株価収益率)が15倍前後でも割高感はありませんでしたが、今後は投資会社に転換します。その純資産価値から株価を見てみると、相当な割高感が出てくるのです。  コンビニではユニー・ファミマHDが売り推奨です。伊藤忠が子会社化するためにTOB(株式公開買い付け)を実施すると4月に発表しましたが、妙に高設定にもかかわらず、株価はすでにTOB価格を上回っています。おまけに、買い付け時期は発表から4か月も先の8月頃で、TOB価格で計算した予想PERは35倍で割高感が際立つ。これでは売り以外の選択肢がありません……。全体相場も’18年後半は下げ基調になると見ていいでしょう。 《[闇株新聞]’18年後半注目株》 ※株価等の情報は6月12日時点 〈買い推奨〉 ヤマダ電機(東1・9831) 株価:557円 PER:9.9倍 PBR:0.76倍 予想配当利回り:3.05% 単元株数:100株 家電量販店国内最大手。売上高ダントツだが伸び率が一人負け状態のため、同業他社のなかでも割安感が際立つ。今期は50%の増益予想 KDDI(東1・9433) 株価:3016円 PER:11.7倍 PBR:1.92倍 予想配当利回り:3.32% 単元株数:100株 携帯電話で2位。国内事業に注力する堅実経営の一方、動画配信サービスでネットフリックスと提携するなどサービスを拡充 住友大阪セメント(東1・5232) 株価:543円 PER:15.7倍 PBR:1.09倍 予想配当利回り:2.03% 単元株数:1000株 国内セメント3位。ベトナムで産業用蓄電池材の量産を目指すほか、国内建設需要の下支えで’19年3月期は増益予想。自社株買いも 〈空売り推奨〉 ソフトバンクグループ(東1・9984) 株価:8157円 PER:―倍 PBR:1.90倍 予想配当利回り:0.54% 単元株数:100株 傘下にヤフー、英半導体設計のARMなど。持分法適用会社に中国ネット最大手アリババも。携帯電話事業会社の上場で投資事業へ ユニー・ファミリーマートHD(東1・8028) 株価:1万2220円 PER:38.6倍 PBR:2.85倍 予想配当利回り:1.04% 単元株数:100株 コンビニでセンプ&アイに次ぐ国内2位。8月に実施予定のTOBで伊藤忠子会社となる予定だが、株価はすでにTOB価格を上回る 【闇株新聞】 ’10年創刊。大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。証券時代の経験を生かして記事を執筆し、金融関係者・経済記者などから注目を集めることに。現在、新著を執筆中 ― 2018年後半戦を読み解く4大経済ニュース ―
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