貿易戦争の激化はどこの国にもメリットなし。場合によっては1ドル80円台時代の再来も!?

 6月には米朝首脳会談が実現し、アメリカではFRBが利上げを実施。欧州でも量的緩和の縮小が進んでいる。時々刻々と変化する世界情勢のなかで、投資家はどう対応すべきか? 闇株新聞氏に4つのキーワードから注意点を抽出してもらった。まずはそのうちの一つ、「貿易戦争」の話題から解説していただこう。

「アメリカ・ファースト」の副作用は過去の歴史で実証済みだが…… photo by Michael Vadon via flickr (CC BY-SA 2.0)

輸入物価上昇で経済成長が鈍化すれば1ドル=80円時代到来!?

 ’18年後半もトランプ政権から目が離せません。もちろん、史上初の米朝首脳会談を実現したからではありません。貿易戦争の火種を抱えているからです。  政権発足当初からアメリカ・ファーストの通商政策に不安の声が挙がっていましたが、’18年に入ってその路線に磨きがかかっています。3月23日には「鉄鋼とアルミニウムの輸入が安全保障上の脅威になる」という理由で、米通商拡大法232条により、一律で輸入制限を発動しました。日本と中国に対しては即日実施。ブラジル・韓国とは個別に数量規制で合意し、譲歩を求めて適用を猶予していたEU・カナダ・メキシコに対しても6月1日から鉄鋼で25%、アルミで10%の関税が上乗せされるようになりました。  EUはWTO(世界貿易機関)に提訴しましたが、WTOでは安全保障に関する例外措置が認められています。アメリカは「鉄鋼・アルミ産業が衰退すれば、安全保障上の問題が発生する」と主張し続けることでしょう。その姿勢は少なくとも、11月の中間選挙まで続きます。6月1日にはEU・カナダ・メキシコが報告関税などの対抗措置を打ち出したように、泥沼の貿易戦争に発展する可能性が濃厚です。
次のページ 
報復合戦で米中が双方大打撃
1
2