写真/時事通信社
こすっからくて、肝っ玉が小さいくせに、目端が利くのだけが能で、仕事を人間関係の処理だと勘違いしており、キャリアや人生においてなんの付加価値も生まないにもかかわらず、ただただ偉そうで常にふんぞりかえっている。
――本稿読者層のサラリーマン各位にもそんなふうな男に職場や取引先で遭遇することが一度や二度はあっただろう。この種の連中は、まともな会社であれば出世しない。仕事ができないことをすぐに見抜かれ、その横柄さから鼻摘まみ者にされ、すぐに閑職に追いやられるからだ。
だが、この男はそうならなかった。それはなにもこの男に才覚があったからではない。単に家業を引き継いだという筋目の良さから、無能さやそれに伴う傲岸さなどを生まれながらにして不問に付される立場に立っていたからにすぎない。運も実力のうちだというのならば、それもこの男の実力なのだろう。
しかし、加計孝太郎が開いたあの記者会見をみて、「あ、この男、仕事できないな」と気づいた人は多かったはずだ。なにせ鷹揚に構えているように見せてはいるものの、終始目が泳いでいる。恐らく内心は戦々恐々としていたのだろう。あれは仕事を頼める男の顔ではない。天性の小物だ。
思えば、あの記者会見で加計孝太郎が見せつけた「仕事のできなさ」に今一番手を焼いているのは、他ならぬ官邸サイドかもしれない。
なるほど確かに加計孝太郎は会見で「総理と会って獣医学部の話をしたことはない」と繰り返し言明した。だがそこからが問題。加計孝太郎は口をすべらせ、彼自身のみならず加計学園関係者の誰も、安倍晋三とも官邸関係者とも会ってもいなければ、国家戦略特区に関わる話をしていないと言ってしまった。
これは加計の大チョンボ。なにせ5月の終わりに開かれた国会参考人招致で、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「加計学園関係者と面談したことは、一貫して記憶にある」と言明してしまっているではないか。加計孝太郎には大阪の地震、サッカーW杯と、話題目白押しのタイミングで会見を開き注目度を下げようなどという田舎芝居を打つ能はあっても、基本的な事実関係を整理し理解する能力はないらしい。
我々の社会は、この種の小ざかしい馬鹿者どもに舐められているのだ。加計孝太郎をはじめとする、安倍晋三周辺の小人物たちに、「どうせ忘れる、どうせ気づかない」と、手玉にとられているのだ。
しかしもうそろそろいいだろう。この種の小ざかしい無能どもに、きっちりと怒りをぶつけ、社会から退場してもらわねば、この国の底が抜けてしまう。
【菅野完】
1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「
草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『
日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(
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― なんでこんなにアホなのか ―
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『
日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(
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