もう印象評価はたくさんだ。チーム業績を個人業績にひもとく方法

役割によって按分する

 では、個人別の貢献度を何によって図るか。最も単純な方法は、役割によって按分割合を決めておく方法だ。例えば、営業アプローチ20%、クロージング40%、契約実務10%、商品の提供・設置30%と決めたとしよう。そして、4人のメンバーがそれぞれの役割を担っているとする。これらの割合で売上金額を按分するのだ。  この方式を演習していて、よくあるリアクションが、「チームメンバー同士で、担当が明確にわかれていないので、按分できない」というものだ。そうした場合には、案件毎に実態に合った按分割合を適用する方法があるが、それが煩雑であれば、従事した時間で按分するという方法もある。  例えば、Aさんが5時間、Bさんが3時間、CさんとDさんが1時間ずつ、この案件に従事したとしよう。その時間数の割合で、売上金額を按分するのだ。

役割と時間により按分する

 時間按分だけだと、仕事の重みづけがされていない。重みづけを加味するには、各メンバーがどの役割にどの程度時間を費やしたかということを反映させればよい。案件毎に計算することは煩雑なので、期間を通して、どの役割にどのくらいの割合の時間を費やすかということをあらかじめ推定しておいて、それをもとに計算すればよい。  例えば、Aさんは、営業アプローチに50%、クロージングに50%の時間を費やしているとすれば、それらに役割毎の按分率(営業アプローチ20%、クロージング40%)をかけて、役割・時間按分率を計算する方法だ。  役割毎の按分率は正しいのか、費やした時間は正確か、時間と労力をかけて精緻化していくことはできるが、それに時間をかけている間、印象評価を続けていたのであれば意味がない。しかし、実際には、これらの方法は完ぺきではないという理由で実施に踏み出せず、依然、印象評価を続けている企業や団体がすくなくない。  完璧にありのままの実態を反映しているわけではないが、傾向は捉えることができるのであれば、ここに挙げたいずれかの方法で実施していきながら、役割按分率や、費やした時間の設定の確度を上げていく努力に時間を割いた方が、生産的だと思えてならないのだ。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第89回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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