しかし、民主政治を冒涜し、言論の自由を阻み、世俗主義からイスラム主義に変換させようとするエルドアンの動きに反対して来た国民の間では、彼の専制政治が更に強化されることを懸念している。
しかも、トルコ経済もかつての成長は見られず後退している。インフレは5月の時点で12.15%、通貨リラは今年に入って対ドル17%下落している。68%の国民はトルコ経済はこれから更に悪化すると見ているという。
エルドアン大統領も今後のトルコ経済は厳しくなると予測しているようで、2019年に予定されていた選挙を前倒して24日の選挙に踏み切ったのであった。それによって、彼と彼の政党への支持が更に下降する前に選挙をするということにして最悪のケースを避けたのである。(参照:「
El Inflacion」、「
El Medio」)
経済が悪化してくれば、これまでも議会の意向を無視したエルドアンの独裁的政治姿勢が、これから更に強まる可能性は十分にある。外交面においても、トルコはNATOに加盟してはいるが、ロシアとイランの方により接近するようになり、米国離れが更に強くなると見られている。
米国との関係疎遠が強調されるようになるのはシリア紛争からであった。米国はシリアで戦っているクルド人民防衛隊(YPG)とクルド民主統一党(PYD)を、今後も支援して行くことを誓っているが、この両クルド部隊の存在はトルコにとって絶対に容認できないことである。クルド部隊が強化されればされる程、トルコ国内で人口の2割を占めるクルド人への独立心を煽ることになるとエルドアンは懸念しているからである。
またエルドアンは米国そして北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係にも軋轢を生じさせるかのように、ロシアから対空ミサイル・システムS-400を購入することを決めているが、それにまた拍車をかけるかのようにエルドアンはプーチンにS-500のトルコでの共同生産を提案したという。(参照:「
Hispan TV」)