手数料は約8分の1に下がり、個人投資家の8割がネット株取引へ
日本では1999年10月に株式売買委託手数料が完全自由化されました。委託手数料とは、投資家が株を売買する際に証券会社に払う手数料です。それまでは証券取引所の受託契約準則によって、手数料は固定化されていました。
例えば、東京証券取引所に参加する証券会社の手数料率の平均は、自由化前の1999年3月期には0.45%でした。それが2012年3月期には0.06%に下がっています。手数料は約8分の1まで低下したことになります。手数料率の低下をけん引したのはネット証券です。
最初にネットストック(株式)売買に乗り出したのは松井証券で、1998年5月。続いてマネックス、楽天証券、日本オンライン証券などが2000年頃までに相次ぎ営業を開始しました。現在、外国の株式取引に特化したものも含め、20社を超えるネット証券が設立されています。
完全自由化前の証券会社の営業は、営業部員がお金持ちや常連の顧客との間で行う対面取引が中心でした。当然、人件費が大きな割合を占めていました。ネット取引で営業部員が要らなくなり、人件費が大幅に削減できたため、安い手数料率が実現できわけです。大手ネット証券によると、現在では個人投資家の約8割がネット経由で株を取引しているそうです。
「ネット株取引でリベンジしたい」
こんな気持ちが私の心の底から湧き上がってきました。
◆石橋叩きのネット株投資術第4回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は
『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、
『ゼミナール日本経済入門』(同)、
『環境経済入門』(日経文庫)、
『環境再生と日本経済』(岩波新書)、
『サッチャリズム』(中央公論社)、
『サステナビリティ経営』(講談社)など。