影響を免れない諸国のなかでも、厄介な立場にいるのが、ほかならぬ日本だという。
「米国の核の傘の下にあり、同盟国の日本は、知的財産権を守るために協力を求められれば断りにくい立場。だが、これに応じれば、中国から通商面で攻撃されかねません。かといって、仮に中国に接近すれば、鉄鋼・アルミの追加関税の適用が除外されなかったように、米国に厳しい態度をとられることも考えられます……。日本は板挟みになりやすい立場なのです」(三尾氏)
TPPを離脱したトランプ大統領は、日本に対してEPA(経済連携協定)を念頭に、2国間交渉をチラつかせている。安全保障に大きく依存する米国との交渉が不利なのは、火を見るより明らかだ。
「関税の引き上げ合戦に右往左往しているのは、日本だけでなく、米中以外の諸外国と言っていい。米中の政治的圧力に対峙するには、諸外国は団結して、WTO(世界貿易機関)の基本原則に立ち戻り、自由貿易を推進するべきです。TPP11はそうしたポテンシャルを秘めており、経済力が世界3位の日本はリーダー役を担うといい」
TPPの存在感が大きくなりそうだ。
― ゼニズバッ! ―