コロンビア大統領選決選投票は「和平交渉懐疑派」の勝利。FARCやELNとの和平交渉はどうなる?
コロンビア大統領選、決着せず。6月の決選投票次第では再びFARCとの和平分裂で混乱の可能性も」で言及していたコロンビア大統領選の決選投票が、17日、ついに決着し、その結果、FARCとの和平交渉の条件について異議を唱えていた右派のイヴァン・ドゥケ(41歳)候補の勝利となったのである。
この決選投票は実に激戦だった。勝利したドゥケも、これまでの決戦投票で最高の1000万票を越えての当選であった。しかし、対立候補の左派グスタボ・ペトロ(58歳)も健闘して左派候補が決戦投票に臨んたのは初めてで、しかも800万票を越えた得票数であったことからも、その激戦ぶりが伝わってくるだろう。
この大統領選、国民の判断材料にもなっていたのは、長年コロンビアの内戦状態の要因となっていたコロンビア革命軍(FARC)との和平交渉の継続についてであった。右派政権が長く続くコロンビアにおいて、左派でしかも元ゲリラ戦闘員だったペトロが決戦投票に臨むまでに至ったのは、彼がFARCとの和平交渉を修正なく継続する意向を表明していたからであった。一方のドゥケは、和平交渉は支持するものの、その条件に修正が必要であると主張しており、それが和平交渉の挫折を招くかもしれないという不安要素として国民の間に認識されていたからだ。半世紀の間、この内戦状態に苦しめられていた多くの国民は、FARCとの和平交渉が穏やかに進展することを望む人が少なくなかったのである。
最終的にドゥケが勝利して8月にイヴァン・ドゥケ大統領が誕生することになった。今、コロンビアの国民の間で注目されているのは、彼がアルバロ・ウリベ元大統領(FARCとの和平交渉を進めノーベル平和賞を受賞したフアン・マヌエル・サントス前大統領の前、2002~2010年に在任)によって操り人形のような大統領になるのではないかという懸念である。それを上手く表現しているのは政治評論家のクリスチアン・トーレスだ。
曰く、「イヴァン・ドゥケの票はない。(票が)あったのは、この15~20年間で最も影響力のあるアルバロ・ウリベの票であった」という指摘だ。(参照:「El Comercio」)
米国ワシントンで米州開発銀行(IDB)のアドバイザーを務めていた無名のイヴァン・ドゥケに、コロンビアの上院議員のポストを用意し、その後大統領候補に仕立てたのはアルバロ・ウリベであった。昨年末に中道民主党から誰が次期大統領の候補者に成るかということが話題になっていた時に、ドゥケは10%以下の支持率でしかなかった。ところが、党首のウリベが彼を大統領候補に指名すると決めた途端に世論調査で次期大統領候補者のトップに躍り出たのである。
今回、勝利はしたが政治家としての経験はほんの僅かしかない。一方のウリベは今年3月の上院議員選挙でも歴代最高の得票数を得て上院議員に当選している政界のドンである。ウリベは2002年と2006年の大統領選挙の時も一次選挙で50%以上の票を獲得して、決選投票に臨むことなく大統領になった人物でもあった。彼の在任中の支持率は70%を超えていたというからその人気が伺える。(参照:「El Pais」)
サッカーW杯で日本代表の初戦の相手となったコロンビアだが、その政治情勢はいまだ安定しないことになりそうだ。
というのも、6月1日に配信した「ドゥケ勝利の背後にいる元大統領
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