宇宙にものを打ち上げるには膨大なエネルギーが必要で、ロケットは高価な乗り物にならざるを得ない。しかしロケット以外の方法で打ち上げることができれば、コストダウンできるかもしれない (C) NASA
盛大な炎と轟音を巻き上げながら飛ぶロケット。古今東西、宇宙にものや人を打ち上げる際には、かならずロケットが使われてきた。むしろロケットは、宇宙にものを打ち上げる唯一無二の手段でもある。
宇宙にものを打ち上げるには莫大なエネルギーが必要で、それゆえにロケットはきわめて高価になり、小さな衛星を打ち上げるのにも億単位の金額がかかる。
しかし、もし
ロケット以外の手段で宇宙にものを打ち上げることができれば、そのコストを大きく下げられるかもしれない。米国でそんな事業に挑む企業
「スピンローンチ」が誕生した。
スピンローンチ(SpinLaunch)を立ち上げたのは、
Jonathan Yaney氏という人物。彼自身はそれほど有名ではないが、彼の兄弟のMaximus Yaney氏は、成層圏に無人の飛行船を飛ばし、過疎地にインターネットをつなげることを目指した「タイタン・エアロスペース」を立ち上げた人物として知られ、Jonathan氏もこの企業に参画していた。
タイタンは2014年にGoogleに買収されたが、その直後、スピンローンチが立ち上げられ、Maximus氏は同社のファウンダーのひとりにして、最初の投資家にもなっている。
もっとも、最近まで同社の存在は謎につつまれており、いまなお、大部分は明らかになっていない。
スピンローンチ社のサイトはログイン制で一般人は何も見ることができない
その一端が明らかになったのは今年2月、資金調達に成功したことをきっかけに、米国のテクノロジー系メディア「TechCrunch」の独占取材に応えたときだった。
スピンローンチが目指すのは、
宇宙へものを打ち上げるコストを、大幅に引き下げることにある。すでに、イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏なども同じ目的で宇宙企業を立ち上げているが、彼らがロケットそのもののコストダウンに挑んでいるのに対し、スピンローンチはそもそも、
ロケットではない手段を使おうとしている。