神輿が空を飛び、海を往く! 築地の夏の風物詩「獅子祭り」、来年からはどうなる?

 6月8日の午後、築地市場の一角が熱気に包まれていた。  この日は築地波除神社の大祭「つきじ獅子祭り」の日。獅子祭りは毎年恒例のものであるが、10月11日に市場移転を控えた今年は例年と違う「特別なもの」となった。

ターレ(ターレット)に載せられた神輿が町を往く。「築地ならでは」の光景だ

約100年ぶり!海を往く神輿に沸いた築地の祭り

 つきじ獅子祭りは築地市場に隣接する「波除稲荷神社」(築地波除神社)の例大祭で、毎年6月に開催されているもの。築地市場に夏の訪れを告げる風物詩となっており、とくに今年は3年に一度の本祭の年とあって大いに賑わった。  祭りの初日となった6月8日は、午後3時半に神輿と山車がお囃子とともに神社を出発。商店街の築地場外市場を経て築地市場の構内を練り歩いた。そして、市場の岸壁に辿りつくと、待ち構えたクレーンに神輿が取り付けられる。なんと、今年は神輿が隅田川へと運び込まれるというのだ。  岸壁には、宙を舞う神輿の姿を一目見ようと大勢の人が集まった。  話を伺った市場関係者によると、神輿を海へと運び込む船渡御(ふなとぎょ)は、築地では明治時代に一旦途絶えており、今回約100年ぶりに復活させたものだという。関東大震災の影響などにより東京の魚市場(魚河岸)が日本橋魚河岸から築地市場に完全移転したのは1935年のこと。そのため、船渡御神事と築地市場のコラボは今年が最初で最後のものとなった。 無事に船に載せられた神輿は、すぐに隅田川へと「出港」した。そして、隅田川を上流へと進み、勝鬨橋をくぐって神事を実施。そののちに下流へと引き換えし、浜離宮恩賜庭園へと運ばれた。

勝鬨橋を目指して水上を往く神輿

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市場が消える築地、祭りはどうなるのか?
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