10万人規模で行われるマスゲーム(訪朝者撮影)
この春から密かに噂に上がっていた北朝鮮のマスゲームが5年ぶりに復活することが19日北朝鮮当局が正式発表した。9月9日の北朝鮮建国70周年に合わせて開催されるもので期間は9月30日までの予定となる。
今回のマスゲーム復活決定を最初に発表したのは、北朝鮮当局ではなく、北朝鮮旅行の代理店「高麗ツアーズ」(北京)だった。観覧料は80ユーロ(約1万1900円)からでツアー募集を始めているが、実際は、日程以外はすべて未確定で、観覧料も100ユーロ(約1万2700円)からVIP席300ユーロ(約3万8200円)で数段階のグレードを設ける程度しか発表されていない。北朝鮮ツアーではよくあることなのであるが、代理店である旅行会社が先行発表し、北朝鮮当局が後から認めて追加発表するという逆転しちゃっているパターンだ。
高麗ツアーズの観覧料80ユーロからは、5年前の観覧料をそのまま載せたと思われる。同社は平壌マラソンでもそうだが、北朝鮮当局が発表する前に先行発表することが少なくない。確かに北朝鮮は特殊な国でそれなりの準備期間が必要なので旅行会社としては少しでも早く発表したい気持ちも分からないでない。
今回のマスゲーム復活情報も高麗ツアーズ先行発表を受けて中国の旅行会社が19日に「高麗ツアーズがマスゲーム観覧ツアーを発表しているが?」っと朝鮮国際旅行社へ確認したら正式に決定したと言われたという。
そのため、公式にはマスゲーム開催が決定しただけで、観覧料もテーマ(演目)、上演時間も未発表という状態だったりする。時間は、観覧料が最後に開催された2013年の料金に近いことから中止前と同程度の1時間半くらいマスゲームが行われるのではないかと旅行会社では見ている。
マスゲームは、アリラン祭という夏のイベントの目玉として2002年に金日成主席生誕90周年を記念して始まったものだ(北朝鮮では大マスゲームと呼ぶが、本記事はマスゲームとする)。アリラン祭の初年度は2000年以降では最大の1200人ほどの日本人観光客が訪朝している。しかし、その年の9月17日に小泉訪朝があり、日本人拉致事件を金正日総書記が認め謝罪。これをきっかけに日本国内での北朝鮮への世論が一気に厳しくなった年でもあった。
マスゲームのテーマは、金日成主席の業績を称えるもので、後半は、金正日総書記の業績も加えられた内容だった。10万人規模の世界最大のマスゲームとして2007年にギネス認定されている。2006年は洪水被害のため中止になった以外は毎年夏の恒例イベントとなっていたが、2013年を最後に中止された。中止理由は、金正恩委員長が学業を優先させるべきと指示したからとされる。