安倍政権による事実上の移民受け入れ宣言「骨太の方針」の「骨なし」っぷり

コンビニエンスストアは外国人留学生のアルバイトは不可欠になっている。 topic_w5 / PIXTA(ピクスタ)

 6月15日、政府は経済財政運営の指針「骨太の方針」や成長戦略の「未来投資戦略2018」など、一連の政策方針を閣議決定した。  なかでも注目されたのは「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」の副題を掲げた「骨太の方針」。そこには、外国人労働者の受け入れ拡充などを盛り込んだものだったからだ。  外国人労働者については、就労を目的とした新たな在留資格を創設する方針を打ち出している。  外国人の労働問題について詳しい、弁護士の指宿昭一氏はこの方針についてこう語る。 「これはもう事実上の移民政策です。そもそもこれまでも日本は移民を受け入れてきています。2017年10月末の段階で、技能実習やコンビニなどで働く留学生も含めて外国人労働者は127万8670人となっており、現在は128万人に達しています。しかし、約128万人も働いているのに、政府は非熟練労働者の受入れ意を正面から認めてこなかったし、『移民は受け入れない』として、移民の存在に見て見ぬふりをしてきたというのが現状です。  1年以上日本に居住する外国人を数多く受け入れて入れているのだから、移民を受け入れてい来たと言っていい。しかしそれでもなお、これを『移民政策ではない』ということ自体がおかしい。「まともな移民政策はとらない。」と言いたいのでしょうか。。2025年までに50万人の外国人労働者をこの新在留資格で増やそうという。これは積極的移民政策以外の何物でもありませんし、移民政策であれば真正面から働きに来てくれる外国人を受け止め、日本社会との共生を円滑に行うための対策を講じるべきなのに、『移民ではない』という逃げ口上でそれを蔑ろにしています」  指宿氏は、そういう意味では政府がついに新しい在留資格を設けて外国人労働者を受け入れる姿勢を明言したのは評価できなくもないという。しかし、それ以上に問題が多いと指摘する。 「まず在留資格が、家族の帯同ができないということと在留期間の通算で5年としているということに問題があります。そもそも財界を始め日本の企業側も外国人労働者なしでは回らなくなっていると認識している。そうしたニーズから外国人労働者に働きに『来てもらう』んですよ。必要だから来てもらうわけです。それを、5年経ったら必要がなくなるんですか? そんなわけないでしょう。また、家族の帯同を認めないというのも、『それを嫌がる人がいる』という以外の合理的理由がありません。  また、技能実習生においても問題化していましたが、外国人労働者の受け入れを考えるとき、送り出し国のブローカーの問題があります。日本だけではありませんが、移民や外国人労働者の問題の背後には、多額の渡航前費用を送り出し国のブローカーが受け取っているという事実があります。渡航前費用は、借金をして準備します。そのため、多くの外国人労働者は日本に来てから、しばらくは借金返済のために働かなければならない。そのため、奴隷的状態で働かされても、辞めるわけにはいかない、文句も言えないという状況になります。。現行法でも何もこの対策は講じられていませんでしたが、骨太の方針でも変わらずに無策です。  例えば国同士で二国間のハローワークを作って、求人求職を行って、間にブローカーを介在させない仕組みを作るとか、具体的な対策を講じて、ブローカーなどを排除して、適正な形で入ってくる仕組みづくりも大切なのに、そこの検討が不十分です」
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「人」を受け入れる気持ちに欠ける
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