「タイ人をバカにした振る舞いをする」と嫌われるタイの日本人観光客。マナー低下はプーケットでも

タイ人店員から嫌われる日本人の若者観光客

 プーケットのナイトライフシーンで働く人には、日本人の若者はケチという印象が強くあるようだ。もちろんほかの国の若者も金がない人だって少なくない。しかし、行いが非常に悪く、「お金がなくてもスマートに遊べばいいのに、すぐタイ人をバカにした振る舞いをするのが日本人の若者の特徴」と言われてしまっているようだ。  バンコクの夜遊びに精通する日本人男性Tさんは、盗撮や必要以上な値切り交渉、傍若無人な振る舞いはSNSが要因じゃないかと言う。 「YouTubeやインスタに載せるための映像、ブログに載せるための行動のためにそういった振る舞いをしているのではないでしょうか。昔からタイは店内で撮影するのは禁止されていますし、特に今はスマートフォンを店内で触るだけでも注意されるようになりました」  Tさんが目撃したのはバンコク郊外のマッサージパーラーで、ある日店内の待機場所にいる女性たちが一斉に柱やソファーの影に隠れだした事態だった。そのひとりがTさんの隣にいた日本人を指さし「盗撮している!」と叫んだ。ただ、そのときはその日本人はただメール確認をしていただけのようで事なきを得たが、ほかの日にはゴーゴーバーで揉めている日本人らしき男性がいたという。逃げだそうとしたが店の入り口で捕まり、店内に連れ戻されたそうだ。

ゴーゴーの女性たちの撮影許可はなかなか難しい。この写真は当然撮影・使用許可は得ている

 撮影をするならば許可を取ってからでないといけない。ただ、撮影の許可はかなり難しい。筆者は仕事柄、風俗関係の店舗や女性のインタビューなどを行うが、それでも写真撮影の許可を取ることは難しい。本業でも難しいのに、一般の客が許可を得られることはまずない。それを無理にでも撮影した場合、暴行されても仕方がないし、誰も味方になってくれないだろう。

見た目はまともな在住日本人は増えたが……

 2000年代は在住日本人もそれほど多くなく、法を犯しそうな人というのは見た目から変な人が多かった。言動や服装など、どう見てもまともではないという人ばかりだ。今のタイはずいぶんクリーンになり在住日本人も増えたものの、見た目はまともな、中身だけおかしい人というのも多くなった。社員旅行で来た日本人団体が浜辺で全裸になるという事件もあったり、外見で問題児を見分けることは難しい。そうなると、普通の人までも周囲から怪しまれることになってしまう。そういう意味ではこういったマナーの悪い連中が増えることは大きな問題でもある。  タイは今日本旅行ブームで、海外旅行で日本に向かうタイ人が増えている。どちらかというと富裕層が多く、日本の観光収入にも貢献する人たちだ。今のところ日本人のマナーに対する不評はごく一部だけしかない。これ以上悪く言われないよう、日本人の誇りと日本の魅力を、日本人観光客ひとりひとりが背負うつもりでタイを楽しんでほしいと願うばかりだ。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)> たかだたねおみ●タイ在住のライター。6月17日に近著『バンコクアソビ』(イースト・プレス)が刊行予定
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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