昨年のビットコイン急騰の少なくとも半分は価格操作されていた!? テキサス大リポートの衝撃
SSRN『Is Bitcoin Really Un-Tethered?』」、「NY TIMES」)
その論文によれば、昨年ビットコインと他の大きな仮想通貨における価格上昇のうち、少なくとも半分を集中した価格操作キャンペーンによって引き起こされた可能性があるという。
JOHN M. GRIFFIN教授は研究の中で、ビットコインと「テザー(tether)」という仮想通貨の関係性について着目した。テザーは、米ドルと価格が連動することを謳っている「ステーブルコイン」と呼ばれる仮想通貨だ。
じつはこのテザー、以前からある疑惑があった。それは、テザーが謳う「ドルの裏付け」がハッタリなのではないかという疑惑だ。つまり、テザーの運営会社(テザー社)の保有するテザーの総額が、同社の保有する米ドルの総額と合致していないのではないか? ということだ。(参照:「WIRED」)
そのため、SNSやRedditなどで同社に対して米ドルの準備高を開示することを要求する声が以前から噴出していた。同社はその要求には応じず、監査法人との関係を打ち切るなどしていた。
さらに、実はこのときから、「もしテザーが裏付けとなる米ドルを保有していなかったら、同社は自由にテザーを発行できることになり、ビットコインの価格下落に合わせてテザーを発行して、ビットコインを買い漁ることも理論上に可能だ」という指摘がなされており、匿名でテザーの発行時期とビットコインの急落時期が連動していることを示すレポートが出ていたのだ。
仮想通貨に詳しいライターの高城泰氏は語る。
「テザーは米ドルにほぼ連動して動くとされる仮想通貨です。本来、テザーが1単位発行されるごとに1ドルが裏付けとして保管されることが前提なのですが、本当に保管されているのか、怪しいとの指摘は以前からあり、1月には米商品先物取引委員会(CFTC)が調査中との報道もありました。テザーの発行量とビットコイン価格の推移を重ねると、『ビットコイン価格が急落すると新規のテザーが発行され、ビットコインが上昇する』といった現象は幾度となく観測されています。昨年11月から12月にかけて暴騰時にもテザーの発行量は2倍以上に急増しています。“状況証拠”的には疑惑を持たれてもおかしくないでしょう」
今回の論文では、テザー社の経営陣とまったく同じ経営陣が運営するタックスヘイブンにある取引所、Bitfinexのブロックチェーンの台帳に記録された数百万件の取引記録を解析し、昨年起きた大きな価格変動において、上記のような価格操作疑惑を証明するパターンを特定し、昨年起きたビットコインの価格上昇のうち、少なくとも半分以上でテザーの新規発行と価格上昇の間に相関関係が認められたとしている。
もちろん、この論文においてBitfinexが価格操作に関与していたことを明確にする証拠のようなものはない。しかし、この手法は過去に同様の不正を暴くときに役立った手法であり、専門家の間では確度が高いものだと評価されている。
6月13日、テキサス大学のJOHN M. GRIFFIN教授と卒業生のAMIN SHAMSが66ページに及ぶ衝撃的な論文を発表し、波紋を呼んでいる。(参照:「BC急騰時に発行量が急増していたテザー
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